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乃木坂46の14th選抜は“激動前の安定”? 深川麻衣初センター、堀未央奈選抜復帰の意図を読む

2016年02月02日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 乃木坂46が1月31日放送の『乃木坂工事中』(テレビ東京系)で、14thシングルの選抜メンバーを発表した。


(参考:乃木坂46運営・今野義雄氏が語る、グループの“安定”と“課題” 「2016年は激動の年になる」


 今回は13thシングル『今、話したい誰かがいる』の16人選抜から1人増え、17人選抜に変更。センターには、今回のシングルをもって乃木坂46を卒業する深川麻衣が初めて選ばれた。しかし、ほかのメンバーに関しては、前作でアンダーセンターを務めた堀未央奈が選抜へ復帰したことと、“十福神”の配置が変更になったこと以外、目立った大きな変化は起こっていない。


 2015年末に『紅白歌合戦』に出場し、各メンバーが「勝負の年」と位置づける14thシングルにおいて、今回の選抜メンバーはどのような意味を持つのだろうか。リアルサウンドで乃木坂46系の記事を多数執筆し、『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であるライターの香月孝史氏は「大きな変化がない部分に注目したい」と述べた。


「乃木坂46は、2015年末の『紅白歌合戦』出場を経て、より多くの人に注目されるポジションへと進みました。グループの功労者である深川さんが卒業を控えていることもあって、彼女をセンターに抜擢しましたが、選抜の顔ぶれだけを見返すと、堀さんの選抜復帰以外に変化はありません。これは2016年第一弾シングルとして、波乱を起こしてかき回すよりも、紅白以降に興味を持った人々に対し、昨年後半から引き続く流れの中で盤石のメンバーをもってグループをアピールしたいという狙いがあるのではと感じます」


 また、深川の卒業シングルという位置付けについては「これまでになかった」ことであると述べた。


「ライブの少ない乃木坂46は、昨年末の『乃木坂46 アンダーライブ at 日本武道館』で永島聖羅さんが卒業を発表したことが特例といえるほど、卒業へのプロセスをドラマチックに見せることが少ないグループです。これまではブログやHPなどで卒業発表を行ない、次の握手会などをもって卒業とするメンバーが大半でした。深川さんの場合、グループ自体も選抜常連メンバーの卒業を経験することが初めてですし、14thシングルの制作・活動まで比較的時間の猶予のある進行で卒業に向けて準備ができます。メンバーが循環していくタイプのグループにおいては、フロントメンバーが卒業していく時に大きなイベントとして盛り上げていくのはよく見られることですが、乃木坂46は今回ようやくそのタイミングが訪れたということなのでしょう。AKB48グループでフロントメンバーが卒業する際の楽曲では、卒業になぞらえた詞が書かれることもありますが、歌詞をあまり直接的にグループに引き寄せてこなかった乃木坂46の場合、14thの表題曲がどのようなものになるのかも気になります」


 続けて香月氏は堀の選抜復帰から、今後の動きをこう推察する。


「堀さんが選抜復帰したことにより、『太陽ノック』以来2作ぶりに、選抜に2期生が1人入るという状況が生まれましたが、選抜の顔ぶれも安定しているため、これ以上の急激な変化を起こしづらいのは確かでしょう。ただ、前作では堀さん、北野日奈子さん、寺田蘭世さん、中元日芽香さん、中田花奈さんという、アンダーメンバーを集めたユニット・サンクエトワールが新しく結成されました。彼女たちはグループとして初めて楽曲ユニットだけでイベントを行なうなど、フレキシブルに活動していたことから、アンダーメンバーが活路を見出すための新たな形を見せるものになっていたと思います。堀さんが選抜入りしたことで、サンクエトワールは選抜とアンダーの混成になります。このことでユニットが自動的にストップしてしまうのではなく、選抜とアンダーの垣根を超えた活動が続き、選抜とアンダーの役割が単純に固定化するのではない姿が見られればよいなと期待します」


 最後に同氏は今回の安定した選抜から、グループの今後をこう読んだ。


「2015年の乃木坂46は上り調子が続き、世間に顔を広く浸透させるチャンスだったからこそ、『勝負』として選抜メンバーをある程度固定化して進めてきたように思います。今年もまた、昨年末の紅白出場を新たな契機として、ある意味『勝負』と位置付けることができるため、昨年に引き続いてある程度メンバーが固定化されたということなのでしょう。ただ、長期的に見ればグループのためにはどこかでパワーバランスを変動させる必要があるはずです。そういう意味では、紅白以降の世間に向けたアピール、および深川さんの卒業のはなむけという意味合いのあった今回の布陣を経て、大きな変動を起こせるとしたら次作なのではと思います。またアンダーメンバーに関しても、ここ2年で『ライブが良い』という結果を出し続けてきた中で、今年はライブで目立つ以外のチャンスも多く生まれるのを見たいですね。アンダーの全国ツアーなどでグループをアピールするうえでも、アンダーがさらに目立った場に立つことは大事だと思います」


 今回の“安定”は、次作で起こる波乱を前にした静寂なのだろうか。カップリングのメンバーやライブイベントなど、未発表の部分を含め、今後の動きを注視したい。(中村拓海)