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KinKi、TOKIO長瀬、KAT-TUN亀梨、JUMP伊野尾……2016年注目のジャニーズを太田省一が深掘り解説

2016年02月01日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 今年2016年も一カ月が過ぎた。今回は、昨年末から年明けにかけて色々な番組を見ながら個人的に気になったジャニーズ、今年期待したいジャニーズを挙げてみたい。


 今年7月、デビュー20周年目に入るKinKi Kidsは、より注目度の高まる一年になりそうだ。毎年年末から年始にかけて行われるツアーとの絡みはあるが、まだ正式出場のない『NHK紅白歌合戦』への初出場も、いまから気の早い話とは言え期待がかかる。


 レギュラーの冠番組『KinKi Kidsのブンブブーン』(『ブンブブーン』)(フジテレビ系)も、彼ららしいユルさがちょうどいい番組の空気感になってきて心地よい。小栗旬とママチャリで荒川河川敷をただ走るという回では二人が自転車をこぐレアな場面が見られるなど、彼らとしては珍しいロケ番組である効果も十分に感じられる。また昨年に続き、年始番組として放送された『堂本兄弟2016 あけましておめでとうSP』(『堂本兄弟SP』)(フジテレビ系)では、東京スカパラダイスオーケストラらとスペシャルメドレーを披露し、歌手としての健在ぶりを見せてくれた。


 以前このコラムでもふれたように、KinKi Kidsはジャニーズ史上初のデュオであり、後に続く関ジャニ∞、ジャニーズWESTといった関西出身者で構成されるグループのパイオニアでもある。一方、ソロとしても堂本光一は舞台、堂本剛はバンド形態の音楽とそれぞれ精力的に活動を繰り広げている。舞台とバンドはジャニーズの歴史を形づくってきた重要なエンターテインメントの柱だ。その意味でKinKi Kidsは、ジャニーズの革新的部分と伝統的部分が交わる要の位置にいる存在だとも言えるだろう。その彼らが今年デビュー20周年のメモリアルイヤーを迎え、どんな活動を展開してくれるのか目が離せない。


 そのKinKi KidsとジャニーズJr.時代から縁が深いのがTOKIOの長瀬智也だ。この年明けにも『堂本兄弟SP』や『ブンブブーン』にゲスト出演し、当時の寮生活のエピソードを語り合い、Jr.時代の楽曲をコラボするなど、仲の良いところを見せていた。


 それ以外にも長瀬は、この1月から天才病理医に扮する主演ドラマ『フラジャイル』(フジテレビ系)が始まったこともあり、他のジャニーズグループの番組を含め多くのバラエティ番組に出演が続いた。


 そこで再認識したのは、長瀬のバラエティ能力の高さだ。例えば、これまであまりちゃんと絡む機会のなかったHey! Say! JUMPの番組では、強面かと思えば実はちょっと頼りなげな先輩として笑いをとり、明石家さんまの番組に出れば、ジェスチャーゲームを全力でやり切るというように臨機応変、柔軟な適応能力を発揮していた。


 長瀬智也には俳優としてのイメージが強い。実際、これまで多くの名作に出演してきたし、今回の『フラジャイル』もミステリアスな面のある孤高の主人公を見事に造形している。だがその一方で、TOKIOの一員としてバラエティにも豊富な経験はあるにせよ、ソロのタレントとしてもこれだけのポテンシャルがあるというのは私にとっていい意味で大きな驚きだった。今後もこうした彼を見る機会に恵まれることを期待したい。


 同じく1月から天才怪盗役を務める主演ドラマ『怪盗 山猫』(日本テレビ系)が始まり、ソロ出演が多かったのがKAT-TUNの亀梨和也だ。ドラマ初回放送直後の『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)でもゲスト出演し、「THIS IS MJ」のコーナーで松本潤と「真のカッコいい男はどっちか」をめぐり三番勝負を繰り広げていた。


 そんなクールなカッコよさがとかく語られがちな亀梨だが、それだけではない。グループの冠番組『KAT-TUNの世界一タメになる旅』(『タメ旅』)(TBSテレビ系)を見ていると、タレントとしての地頭の良さ、判断力の高さが至る所で感じられる。場面に応じて自分が前面に出るときもあれば、他のメンバーをツッコんだり、さりげなくトークのフォロー役に回ったりすることもある。状況を踏まえ、最前線のプレイヤーにも司令塔にもなれるといった印象で、番組全体を常に見ているようなポジショニングの良さが光る。


 KAT-TUNもまた、今年はデビュー10周年を迎える記念の年だ。そうしたなか、大きく報道されたように昨年田口淳之介が今春限りの脱退を表明した。グループとしては試練に直面した形だ。ところが『タメ旅』では、田口の脱退は意外なほど頻繁にネタにされて番組の盛り上げに一役買っている。元々スタッフによる強めのメンバーいじりが番組の演出スタイルなこともあるが、それにしても脱退が決まっているアイドルグループのメンバーをこれほどいじる番組は、いままでなかったのではあるまいか。そんなぎりぎりの笑いが成立するのにも、亀梨和也のすぐれたポジショニング能力は、重要な貢献をしていると言えるだろう。


 Hey! Say! JUMPの伊野尾慧も年末年始の番組でソロ出演が目立っていたひとりだ。


 彼については、昨年すでに日本テレビの「24時間テレビ」でV6の岡田准一が「伊野尾がカワイイ 腹が立つ」と熱く語り、トーク番組で千原ジュニアがやはりその可愛さを絶賛するなど、その小動物的可愛さに注目が集まっていた。


 また本気か冗談かわからないような「テキトー」発言も、彼の可愛さと相まって魅力のひとつになっている。ジャニーズに入ったのは「美味しい物が食べられると思ったから」という発言をはじめとして、数々の「テキトー」語録を残しているが、そうした面もグループの冠番組『いただきハイジャンプ』(フジテレビ系)の開始によってファン以外にも知られやすくなった。


 そして大学の建築学科出身という経歴もある。先述の「24時間テレビ」でもその才は発揮されていたが、1月1日放送の『嵐にしやがれ』元日SPの「嵐旅館2016」でも嵐の大野智らとともに「ジャニーズ匠の会」の一員として、かまくらをつくるための設計図を作成していた。さらに1月12日放送の『幸せ!ボンビーガール』(日本テレビ系)でもDIYコーナーに登場し、幼稚園の下駄箱製作のための図面を書くなど、「建築アイドル」として活躍の場を着々と広げている。


 可愛い部分と知的な部分という対照的な二つの面。その絶妙なバランスが彼の最大の強みだろう。かつてダウンタウンの番組に出演した際、その学歴が話題になり、松本人志に最近のジャニーズの高学歴化の理由について尋ねられて「ジャニーズだけじゃ食っていけない」とこれまた本気とも冗談ともつかない返答をした場面からも、そんな二面性の魅力が伝わってくる。これまでジャニーズにいそうでいなかったニュータイプとも言え、その意味でも今年の活躍に注目していきたい。


 言うまでもなく、今年頭角を現し、飛躍するグループ・個人は他にも出てくるに違いない。冒頭にも述べた通り、ここで挙げたのはあくまで私の見た範囲内で目についた4組だ。今年のジャニーズを楽しんでもらう際のひとつの手がかりとして読んでいただければと思う。(太田省一)