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ジョニー・デップ、『ブラック・スキャンダル』で共演したカンバーバッチらとの絆を語る

2016年01月31日 15:51  リアルサウンド

リアルサウンド

『ブラック・スキャンダル』 (c)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., CCP BLACK MASS FILM HOLDINGS, LLC, RATPAC ENTERTAINMENT, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

 現在公開中の映画『ブラック・スキャンダル』より、本作で主演を務めたジョニー・デップのオフィシャルインタビューが到着した。


参考:「ジョニー・デップの演技には驚嘆した」ジョエル・エドガートンが『ブラック・スキャンダル』での共演を振り返る


 『ブラック・スキャンダル』は、実在のギャングスター、ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーと、バルジャーの幼馴染でFBI捜査官のコノリー、バルジャーの弟で政治家のビリーによる、FBI史上最悪の汚職事件を描いたクライム・サスペンス。ジョニー・デップは、あらゆる犯罪に手を染め、ウサマ・ビン・ラディンに次ぐFBI最重要指名手配犯として、200万ドル(約2億4000万円)もの懸賞金を掛けられた、アメリカ史上最も冷酷残忍なギャングスター、ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーを演じている。


 デップは本作に惹かれた理由を、「バルジャーには以前からとても興味を持っていた。彼の生い立ちや生き方だけでなく、16~17年もの間、国の追跡を逃れ続けることができたという点に。そんなことができる人は滅多にいない」と、バルジャーについてずっと興味があったことを明かす。「実在のバルジャーは謎多き男なんだ。バルジャーを“つかむ”うえで高いハードルだった。だけど、彼のかつての友人や仲間に会うことができて、参考になったよ。おかげで人物像の輪郭がつかめたし、演技のたたき台にすることもできたんだ」と、バルジャーの関係者とコンタクトをとったことを明かしながら、「バルジャーは一触即発の爆弾だったけど、一方では感傷的でデリケートな一面もある。そんな人物を演じるのは綱渡りをするような感覚だったね」と、バルジャーを演じることの難しさを語った。


 実在の人物を演じることについては、「その人、真実、歴史に対する責任を背負うことになる。それが誰であろうと、敬意を払うことがとても大切。その人の生きざまを演じさせてもらうわけだから、たとえ犯罪者であっても、できるだけ本人に近づくように努めるのが礼儀じゃないかな」と自身の考えを述べながら、バルジャーを演じるにあたっては、たくさんあった映像資料を参考にしたといい、「彼は母や弟をとても大切にし、家族愛のある複雑な人間だった。そんな彼を的確に、ある意味、正当性をもって演じるようにした」と振り返る。


 実際のバルジャーにそっくりだということでも話題になっているそのルックスについては、「バルジャーの特徴を掴みながらヒューマンに見えることにこだわった。僕の目はスペードのエースのように黒いから、ブルーのコンタクトは特注で作ってもらった」と具体的な事例を挙げ、「俳優は、リスキーな肉体的変身をして、毎回フレッシュな、異なる外見で観客にサプライズを与える責任があると思っている。試行錯誤した挙げ句、最終的に、最も近いと思われる今回のルックスに決まった。彼はとても肉体的で、タフな男だったから、更に体格を良くした」と、バルジャーの肉体的な面をキャラクター作りに利用するのが重要だったことを明かす。「彼の声の録音はあまり残っていなかったので、ある意味、カンでやっていたが、うまくいった。彼の以前の仲間から手紙をもらったんだが、かなりビビっていたようだったからね(笑)。そう聞いて嬉しかったね」と語る。


 FBI捜査官のコノリー役を演じたエドガートンとの共演については、「実にいい気分だった。彼が相手なら何でもやれるし、彼の方でもちゃんとやり返してくれるからだ」と振り返りながら、「共演したシーンでは一度たりとも、新たなアプローチを試さなかったことはなかった。彼は毎回必ず新しい要素を採り入れ、演じ方を変えてみせたんだ。彼には毎回驚かされたし、彼との共演では僕自身が気づかされることも多かった。彼のことは心から尊敬しているよ。本当に素晴らしい俳優だ」と称賛している。


 バルジャーの弟で政治家のビリー役を演じたカンバーバッチについても、「彼は凄いよ。本当に凄い。素晴らしい人物で、心も魂も美しい。ベネディクトはとても献身的な俳優で、今回も期待以上の結果を出しているんじゃないかな。ビリーの心境、忠誠心、兄への思いが透けて見えるようだよ。ベネディクトもジョエルと同じように、見事にビリーを演じきった」と絶賛しながら、「ベネディクトにもジョエルにも、とにかく圧倒させられた。彼らとの共演は本当に素晴らしい体験だった。彼らとの共演シーンが終わると、みんなで『最高だった。見事だったよ』と言い合っていた。そんな人たちは尊敬できるよね。彼らはもう兄弟同然だ」と、今回の共演により、3人のあいだで絆が芽生えたことを明かす。


 また、クーパー監督については、“奇才”と表現しながら、「『クレイジー・ハート』と『ファーナス/訣別の朝』を観て、恐れ入った。両作品でスコットが見せた奥の深い演出は、とても新進監督とは思えなかった。だから、いつか組んでみたいと思っていたんだ」と、前々から一緒に仕事をしてみたかった監督だったと語る。「現場での仕事ぶりを見ていても、これが3作目とは信じられなかった。その手腕、ビジョン、熱意に惚れ惚れしたね。スコットが監督するなら、電話帳の撮影にだってつき合うね(笑)。本気だよ! スコットのことは心の底から尊敬してるんだから」と笑いを交えつつ、「宇宙で唯一無二、特殊で稀な輝きみたいな存在だ。彼の能力とビジョンの強烈さ、そして情熱に驚かされてばかりだった。彼は本当に素晴らしいフィルムメーカーであり、計り知れない才能の持ち主だ」と大絶賛している。


 最後に、デップは本作で最も重要なのが、「最初の10分で映画を観ているという感覚を失うほどになること」だと指摘している。「スコットのカメラの動かし方や使い方は型にはまったものではなく、カメラをまるで人のように扱い、覗き見しているかのように使う。カメラがあたかも一人のキャラクターとして息をしているかのようなんだ。彼のアプローチはとても勇敢で、ある意味、過激だったね」と、注目すべきポイントを挙げている。(リアルサウンド編集部)