2016年01月31日 09:21 弁護士ドットコム
東京都在住の会社員マリコさん(30代)は、先日参加したホームパーティーのことで、モヤモヤが続いている。マリコさんが行ったのは、居酒屋の常連客仲間が開催したホームパーティーだった。ある男性客が「引っ越したばかりだから、お披露目でホームパーティーやるよ」と、店の常連の人々に声をかけ、開催されたそうだ。
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「20代から50代まで、男女20人くらいが集まりました。『手ぶらできて』とは言われていたものの、4000円くらいの赤ワインを持って出かけました。遅く来る人、早く帰る人がいましたが、ほとんどみんな、飲み物や食べ物、デザートやつまみを持ってきていました」
そして片付けを始めたころ、ホストから「じゃ、今日の会費は3000円ってことで」と伝えられたそうだ。
マリコさんは「『えっ?』という感じでしたけど、お酒も入っていたし、深く考えずに支払いました。でも、ホストが用意したのは、スナック菓子と自分の缶ビール、紙皿くらい。1500円分ぐらいだったと思います」と話す。
この日、マリコさんがこのパーティーのために支払った総額は7000円。そこそこの店で宴会するのと変わらない金額だけに納得がいかないようだ。「家も普通の1DKで、ひしめきあっていました。飲み物や食べ物も招待客がほとんど用意したようなもので、お金を返してもらいたいんですよ」と立腹している。
はたしてマリコさんはホストに対し、3000円の返還を求めることはできるのだろうか。大熊裕司弁護士に聞いた。
「居酒屋の常連客からホームパーティーに『手ぶらできて』と招待されたので、マリコさんとしても無料で招待してくれたと理解しても仕方がありません。それでもマリコさんは気を使って、4000円位の赤ワインを持って参加したというのですから、当然会費を取られることは想定していなかったと思われます」
では、会費の返還は認められるのだろうか?
「そもそも、マリコさんがホームパーティーに招待されたとき、会費を徴収するという話が出ていないことから、マリコさんがホームパーティーに参加した対価として、3000円を支払う法的な義務はないと考えられます。
ホストが当初から会費によって利益を得ようとしていたのかどうか分かりませんが、『会費を支払うなどとは聞いていない』と言って、会費の支払いを拒むことは可能だと思います。
しかし、不満を持ちながらも、マリコさんがホストに会費を支払ってしまった場合は、会費を支払うことに承諾したと捉えられてしまい、返還が難しくなると思います。
本件は、法律問題というよりも、マナーの問題だと思いますが、小さなトラブルや不満が残らないように、ホームパーティーのような場合でも、会費など細かい点についても確認するようにしておいたほうがよさそうです」
大熊弁護士はそのように助言をした。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大熊 裕司(おおくま・ゆうじ)弁護士
第一東京弁護士会所属弁護士。家事事件、消費者問題、知的財産関係、インターネット問題(ネット上の名誉毀損、誹謗中傷対策など)を中心に扱っている。
事務所名:虎ノ門法律特許事務所
事務所URL:http://www.toranomon-law.jp/