エステバン・グティエレスは、リザーブドライバーとしてフェラーリに加わることが、キャリアで最大のリスクをかけた選択だったと考えている。
グティエレスはザウバーで苦戦続きの2年間をすごしたあと、2014年シーズン限りで同チームのシートを失い、昨年はフェラーリのテストドライバーを務めた。セバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネンというビッグネームの影で、あまり日の当たらない場所にいたグティエレスは、これで当分はレースをする機会はないだろうし、ひょっとするともう二度とチャンスは訪れないかもしれないと覚悟していたという。
だが、そのまま埋没するリスクをはらんだ彼の選択は報われた。2016年にはニューカマーであるハースF1のドライバーとしてコースに復帰することが決まったのだ。
「おそらく僕の人生で最大のリスクをかけた選択だった」と、彼は英国オートスポーツに語った。
「だが、人生では時として、そうしたリスクを恐れずに道を選ぶ必要がある。僕も恐れることなくこの道を選んだ。リスクがあることは承知していたが、それは同時にチャンスでもあった。リザーブとはいえ、フェラーリが雇ってくれたのだから」
「そして、僕は明確な短期的目標として、翌年またレースに復帰するには何をすべきかを考えた。当然のことながら目指したのはハースであり、フェラーリとの関係を生かすことだった。これが将来F1のトップへ登りつめるためのさらなるチャンスにつながることを願っているよ」
グティエレスは、ベッテルやライコネン、そしてフェラーリの仕事を間近に見てすごした1年間には、とても大きな価値があったという。
「これまでのキャリアでもずっとそうだったけど、周囲の人々を観察して良い部分を学ぶのは、とても楽しいことだ」と彼は言う。
「本当に有意義な経験だった。また違った角度から物事を見るという、素晴らしい機会が得られたからね。ここで1年をすごしたことで、最高のエンジニアたち、キミやセバスチャンのような最高のドライバー、マウリツィオ・アリバベーネという最高のチームプリンシパル、それからフェラーリの本当に優れた人たち全員を観察して、学ぶことができたんだ」
ザウバーでは苦戦を強いられたものの、2010年のGP3チャンピオン、グティエレスは、これまでF1で積んできたすべての経験がハースでの仕事に役立つと考えている。
「正直に言って、過去3年間ほど多くのことを学び、あるいは重要な教訓を得たことはかつてなかった。ザウバーで苦労した経験とフェラーリで教わったことの両方があってこそ、多くの意味で飛躍的に成長できたと思う。僕はもうすっかり準備が整ったと感じているし、またレースに戻るのが待ち遠しくて仕方がないよ」