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マルドナド、スポンサー問題でチームリーダーとなって進歩する機会を失う

2016年01月30日 13:31  AUTOSPORT web

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ルノーのアラン・パーマンからはその実力が認められていたが…
既報のとおりルノー、マルドナドに代えマグヌッセン起用へ、ルノーとPDVSAのスポンサー契約交渉が決裂した結果、パストール・マルドナドはケビン・マグヌッセンにシートを譲ることになりそうだ。以前からマルドナドのクラッシュの多さを物笑いのタネにしてきたソーシャルメディアでも、このニュースはファンの大きな反響を呼んでいる。

 彼の2012年スペインGPでの優勝は、ウイリアムズにとってこの10年間で唯一の勝利として強く印象に残っているが、タイヤに関する特殊な状況がもたらした「幸運」とみなされることも多く、実際、彼はこの優勝以外にはまだ一度もポディウムに上がっていない。

 マルドナドは2011年のGP2チャンピオンとしてF1にデビューした。GP2での王座はトップチームとは言いにくいラパックスのマシンで、しかもセルジオ・ペレスやジュール・ビアンキといった強敵を相手に勝ち取ったものだ。しかし、強力な経済的後ろ盾の力でF1まで来たことや、しばしば物議を醸す荒っぽいレーススタイルのため、ファンやライバルのたちの間ではあまり評判が良くなかった。


 ロータスでの2年間も、ロマン・グロージャンと比べ全体的に見ると影が薄かった。だが、2016年にルーキーのジョリオン・パーマーとコンビを組み、ルノー・ワークスチームの実質的なチームリーダーになっていれば、マルドナドはこれまでよりも落ち着いて、大きく成長したかもしれない。

 マルドナドのチーム残留が疑問視され始める前の2015年末の時点で、ロータスのトラックサイドオペレーション・ディレクター、アラン・パーマンは、その可能性があることを示唆していた。

「彼はチームリーダーとしての責任を果たせると思う」と、パーマンは英国オートスポーツに語った。

「できないと考える理由はないね。パストールには十分な能力がある。テストドライバーとしても優秀で、一日中マシンに乗ったまま、いろいろなパーツを試してフィードバックをする仕事を得意としている。それが彼の長所のひとつであり、テストでは素晴らしい能力を発揮するんだ。彼にチームリーダーとしての責任をあずけて、その立場にふさわしいドライバーになるかどうか見てみようじゃないか」


 マルドナドは2015年シーズン終盤の6戦で4回ポイントを獲得した。パーマンは、マルドナドがクラッシュが多いというイメージが先行しがちなことを認める一方で、彼にはまた違う面が育ちつつあると考えていた。
「パストールは驚くほど速いドライバーだ。ただ、すべての週末でその速さを発揮するかというと、なかなかそうはいかないところがある。それでも、昨年終盤には3戦連続でポイントを獲得していて、その面で彼は進歩しつつあるように思うし、ワイルドな面はやや落ち着いてきたようだ」

「過去にクラッシュが多かったことは事実だから、彼はどうしても世間の人々の辛辣な批評や嘲笑の的になりがちだ。とはいえ、どちらに非があるとも言えない状況で、自分のレースを台無しにしてしまうことが多いのは確かで、その点については私も注意を促してきた。彼はできる限りハードに攻めながら、極力クリーンなレースをする必要がある。彼にはこう言ったんだ。『君は過去にいろいろなアクシデントを起こし、つまらない結果に終わったことも少なくない。とにかくトラブルは可能な限り避けていかなければならない』とね」

 ルノーとPDVSAの交渉に急展開がない限り、マルドナドがそのアドバイスを役立てる機会はもう訪れない可能性が高い。