「やまとなでしこ」という言葉があるとおり、日本の女性は自己主張せず、おしとやかにしているべきという価値観がある。米世論調査機関のピュー・リサーチセンターの調査結果からも、そのような傾向がいまだに根強いことがあらわれている。
世界38か国の調査結果を見ると、「女性にも男性と同じ『民主的な発言の権利』があるべきだ」という考えを支持した人は、米国91%やカナダ94%と9割を超え、ヨーロッパ6カ国の中央値は86%、南米諸国でも80%にのぼる。その一方で日本人の支持率は60%にとどまったという。
「主張せずに生きていた方が楽」と割り切っているからなのか
調査元は「高いレベルの教育を受けている国では、男女の平等を重視している傾向が見られる」と指摘。教育水準が高いとはいえないアフリカ諸国の中央値が50%という点から見ると、この説は正しいように見える。
しかし日本の水準が、南米チリの83%やアルゼンチン、ブラジルの82%を大きく下回り、タンザニア61%やベトナム60%、フィリピン59%と同列であることを考えると、教育レベルだけでなく社会文化もかなり関係していると考えた方が自然だろう。
教育レベルが高いのに、女性の権利に対する意識が低い日本といえるが、男女別に見るとさらに特徴がはっきりする。「女性の権利」を支持する女性の割合は、日本だけが男性を下回っているのだ。
例えば平均が日本と同じタンザニアは、「女性の権利」を支持する女性が73%にのぼるが、男性では48%と半数未満。女性が25ポイント上回っている。これに対して日本は、女性の支持率が53%で、男性の67%を14ポイントも下回る。
この理由はなぜなのだろうか。日本人女性特有の「奥ゆかしさ」があらわれた結果ともいえるが、男性社会の中で抑圧されて諦めてしまった結果なのか、それとも「主張せずに生きていた方が楽」と割り切っているからなのか、興味深い。
(出典)Global Support for Principle of Free Expression, but Opposition to Some Forms of Speech (Pew Research Center)
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