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「ユニクロ アンド ルメール」キーマンに聞く 絶好調コラボに幕を下ろすワケと次の一手は?

2016年01月27日 09:02  Fashionsnap.com

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ユニクロR&D(デザイナー・パタンナー)統括責任者、ファーストリテイリング執行役員 勝田幸宏氏 Image by: Fashionsnap.com
「ユニクロ(UNIQLO)」とフランスのブランド「ルメール(LEMAIRE)」によるコラボレートコレクションが、3月4日発売の2016年春夏コレクションでラストシーズンを迎える。ファーストシーズンとなった前コレクションは、展開各国で完売アイテムが相次ぎ、コラボ継続期間中では異例の追加生産による再販売を行うなどビジネス面では「世界的に大成功」だったが、それでもユニクロが今回の判断に至った経緯について、同コレクションをはじめ「+J」などのデザイナーズ・インビテーション・プロジェクトを手がけてきた勝田幸宏氏に聞いた。

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 「ユニクロ アンド ルメール(UNIQLO AND LEMAIRE)」初展開となった2015-16年秋冬コレクションは、発売初日の人出で比較すると、究極のコラボレーションとユニクロ社内で言われた「+J」以上の反響があり、ファーストシーズンを振り返って勝田氏は「大成功。これまでのコラボの中で一番幅広い客層に支持された」とコメント。日本国内の他にも、「業界人の反応が良く、発売日には現地店舗に約800人が並んだ」というルメールの本国パリをはじめ、発売スケジュールが一番遅かった米国など、販売した16の国と地域のすべてが好調な売れ行きで、「国によって趣味趣向やトレンドが様々あるにも関わらず、展開各国で受け入れられたということは、ユニクロアンドルメールがつくる"流行に左右されず自由な組合せが楽しめるエレガントな日常着"は世界共通のコンセプトなのではと考えさせられた」と話す。
 ユニクロ アンド ルメールは「時間と手間をかけたコレクション」が大きな特徴で、今回の2016年春夏コレクションは、南仏の太陽・海・風を感じさせる絶妙な色味を出すためにルメール側と何度もやり取りを重ね、パリで4回と東京で2回の合計6回のフィッティングセッションなどを経て完成。ユニクロ側はデザイナーやパタンナー合計10名ほどが関わっており、「ルーズなものを構築的に作り上げることは口で言うほど簡単ではなく、ルメールと組んだことにより学んだデザインプロセスや考え方は(ユニクロの)財産になった」という。
 ルメール側も同プロジェクトについて「(私たちは)広く知られているブランドではないが、多くの感心が集まったと感じている。街のあちこちでユニクロ アンド ルメールを着た人を見ることがやりがいの一つ」と手応えを感じており継続の意向もあったが、それでも1年の展開で中止する理由を勝田氏は「着る人の想像を超えるような新しい"カタチ"の準備」と語る。ユニクロは過去にも、アンダーカバーとのコラボレーション「UU」を惜しまれつつも1年で終了させ、その後キッズコレクションのみ復活させたことがあり、「儲けだけを生み出していれば良いという訳ではなく、違うモノやカタチで驚きや楽しみを提案していくことが使命と思っている」といい、具体的な内容は明かさなかったが「2シーズンにおよんだユニクロ アンド ルメールというストーリーの"第一章"はこれで完結」と含みをもたせた。デザイナーズ・インビテーション・プロジェクトの一つが一旦終了を迎えたことで別のデザイナーとの協業も予想されるが、「新たなコラボももちろん常に検討している。16年秋冬はどういう中身にして、そのためにはどういうアプローチで、誰かと組むのかなど総合的に判断する必要がある。有名ブランドだから組むというわけではない」とコメント。次の大きな提案は、3月~4月頃の発表に向けて仕込み中だという。
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