見た目だけでは妊婦と分からない妊娠初期の女性が、「周囲に妊婦であることを示しやすく」するために発表された「マタニティマーク」。そのサイズが年々小さくなってきているという。
雑誌「初めてのたまごクラブ」(ベネッセコーポレーション)では、マタニティマークが付録として付いているが、2011年には直径が10cmだったものが、2015年に発売されたものは5.5cmに縮小。SankeiBizには、「『目立たないものがいい』という読者の要望を反映させた」との理由が説明されている。マークに対する批判をネットなどで目にし、付けるのをためらってしまっていることが背景にあるようだ。
批判派は2006年から存在、SNSには「嫌い」コミュニティも
マタニティマークが登場したのは、今から10年前の2006年。この頃から快く思っていない人はいたようだ。mixiには、2006年にすでに「マタニティマークが嫌いだ!」とのコミュニティが立ち上げられている。
参加者は約500人。最新の書き込みが2016年の1月2日のため、まだコミュニティとして機能しているようだ。「キライな理由」というトピックを覗いてみると、見た側がマークを自慢だと受け取っていることが理由の一つのようだ。
「『あたしは妊娠してるのよ~』て自慢したいのか??て思ってしまいます」
「自分勝手な都合の理由に端から見たら思われるかもしれませんが、正直言って本音は、、羨ましいから見たくないです。悔しいです」
不妊治療中だという人は、「不妊の女性をすごく傷つけるから嫌い」と投稿。また、子どもがいる場合でも、なかなか子どもが出来なかったり流産を経験した人はあまり良いイメージを持っていないようだ。
「私は子持ちですが、マタニティマーク嫌いです。2人目を流産してから、さらにものすごくキライになりました。不妊の人、流産・死産を経験した人には、マークを見るだけでつらい、と初めてわかりました」
マークを付けることは緊急時に母体と胎児を守ることにも繋がる
もう一つの理由としては、マークを付けている本人にその気持ちがなくても気遣いを強制されていると受け取ってしまうことにあるようだ。
「やっぱヤなのは、電車に乗ってる時。あれって他の人に見えるように付けて、座らせてアピール満々にって感じで、卑しいなぁ。。。と思ってしまう」
「妊婦や子連れって、『譲って貰って当然』って言動が多い」
厚生労働省のマタニティマークの説明は、「妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけ、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするもの」となっている。これを見ると、批判する人のように「妊娠しているアピール」だと受け取ってしまう人がいるのかもしれない。
ただ、妊婦の多くは、「席を譲ってほしい」「気遣ってほしい」という理由でマークを付けている訳ではない。ガールズちゃんねるの「マタニティマーク付けていますか?」というトピックでは、「倒れたりして何かあった時すぐに妊婦とわかるように」という声が多数出ていた。マークはいざというときに母体と胎児を守ることにも繋がるという。
実際、中には妊娠初期に持病のてんかんの発作で意識消失してしまって病院に運ばれたときにマークを付けていたため、「MRIを取らずに済みました」と経験を語る人も。医療従事者だという人も、初期対応が変わるため、外出時には付けるようにすすめている。
不妊治療中でも「おめでとう!と思って席を譲っている」という人も
マークを付けることで嫌がらせなどをされるのが怖く、付けなかったという人も、「本当は外で倒れた時にすぐ妊婦だって分かってもらう為に付けたかったな」と振り返る。妊婦がマークを付けることが、「妊娠してる自分アピール・席譲って下さいアピールの為のマークじゃないって事がもっと周知されて欲しい」と願っていた。
もちろん、不妊治療中の人だって、多くの人はマタニティマークに肯定的で、「マークを付けてる人には心の中でおめでとう!と言って、席をゆずってますよ」との声もあがっている。
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