ピレリが2016年F1シーズンに投入する新しいウエットタイヤについて、キミ・ライコネンは「まだ時期尚早」と判断を保留した。
ピレリは南フランスのポールリカール・サーキットで、1月25日から2日間のタイヤテストを実施中だ。おもな目的は、耐アクアプレーニング性能を改善するためにフルウエットタイヤのコンパウンドを見直すことにある。テストには複数の仕様が異なるタイヤが持ち込まれ、参加したフェラーリ、レッドブル、マクラーレンには違いを知らせない「ブラインドテスト」を行っている。だが、2015年のタイヤと比較して、ライコネンには大幅な改善の兆しは感じられなかったようだ。
テストのルールにより一切手を加えていない昨年型のSF15-Tをドライブしたライコネンは、テスト初日に合計99周を走り、「この経験からいろいろと学べる」と述べた。
「ウエットコンディションではクルマに満足できないことが多かったから、この経験は理解を深めるのに役立つ。ウエットタイヤのテストとしては、これ以上の条件は望めないだろう。このようにずっと同じようなコンディションが続くことは現実の世界ではまずないことだから。いいテストだったと思うよ。ピレリの役に立てるのなら、僕らにとっても有益だ」
「僕としては、昨年のタイヤのほうが好ましいと感じた。まあ、そう言い切るのはまだ早すぎるけどね」
この日ライコネンの他にはレッドブルのダニエル・リカルド、マクラーレンのリザーブドライバー、ストフェル・バンドーンがステアリングを握り、それぞれ99周と87周を走破。テスト中はサーキットに備えられたスプリンクラー・システムが定期的に作動して散水し、終日ほぼ一定のコンディションが保たれていた。
バンドーンは有意義なテストができたと感じている。
「3回のインスターレションランのあと、タイヤのテストを始めた。その後の走行では、ほぼ一貫して同じコンディションが保たれていた。タイヤをテストするには、それが何よりも重要なことだからね」
「最初のうちはコースの一部に十分に濡れていない場所があったけど、うまく仕事をして、しっかり濡れた状態にしてくれた。仕方のないことではあるが一部に水が深すぎる場所もあって、ひどいアクアプレーニングが起きたりするのでドライビングが難しかった。でも、それも何周かすると問題のないレベルになった」
タイヤのフィーリングについて、バンドーンも意見を述べた。
「仕様が違ってもフィーリングは似通っていて、すぐに慣れることができた。ブラインドテストだから、それぞれどう違うのかは知らないけどね。テストの目的は、タイヤがどう反応するかについて情報を提供することにあった。ピレリは十分な仕事をしたと思う。仕様の違うタイヤをテストすれば、フィーリングがいいものもあれば、そうでないものもある。タイヤテストでは、それが普通だ」