世界ラリー選手権(WRC)の今季開幕戦、モンテカルロで観客と接触するアクシデントを起こしたヤリ-マティ・ラトバラ(フォルクスワーゲン・ポロR WRC)に、執行猶予つきの1戦出場停止というペナルティが下った。
ラトバラは23日に行われたSS11を走行中にコースオフした際、コースへ復帰する時にすぐ脇で観戦していた観客のひとりをはねてしまった。
直後にフォルクスワーゲンが発行した声明には、この観客がマシンと接触した衝撃で地面に叩きつけられたものの、怪我は負っていないとされている。また、ラトバラも、泥と煙で視界が遮られていたと弁明しつつも、心から謝罪したいとのコメントを発表した。
しかし、事故の調査を行ったスチュワードは、ラトバラとチームの主張にいくつか疑わしい点があると指摘しており、ラトバラが接触の事実を認識していたと示唆した。
「彼は視界が戻った時に観客が飛び退いているのが見えたのでコースに復帰できると考え、さらに観客と接触したとは思わなかったとも付け加えた」
だがスチュワードは、ラトバラ車のオンボードカメラには接触の可能性を示唆する映像が映っていたとしている。
「スチュワードが映像を確認した結果、観客の体はボンネット上およびフロントガラスのすぐ前にはっきりと確認でき、ドライバーとコ・ドライバーが接触を認識しなかったと考えるのは難しい」
「その瞬間のドライバー側のフロントガラス越しの視界は悪くなく、観客の体ははっきりと見えていた」
スチュワードの声明には、アクシデントの際にマシンが芝生の上を跳ねていたため、ラトバラの目線も上下に揺られたことで決してクリアな視界ではなかったと擁護する部分もあるが、その後の行動にも問題があったと述べている。
「観客と接触した可能性をクルーが一切考慮しなかったこともスチュワードは問題視している」
「映像からも分かるように、コースの左側には多くの観客が列をなして観戦していた。マシンがコースへ復帰する際も彼らは左右に逃げ惑っていた」
「このような状況下では、一旦事故現場に留まって、観客に影響がなかったかどうかを確認することがクルーの義務だった」
ラトバラは、今回のコースオフ時にサスペンションを破損したため、デイリタイアを喫したが、修理に戻った際のオフィシャルリポーターのインタビューでは、当初発表したコメントとの相違があったことも分かっている。
リポーターのジュリアン・ポーターは、スチュワードに対し、次のようなラトバラのコメントを報告している。
「観客と接触したけど、軽くだったからそのまま走り去った。彼が大丈夫か確認してほしい」
「マーシャルに、僕が誰とも接触しなかったと確認してほしい」
スチュワードは、ラトバラとコ・ドライバーのミーカ・アンティラに罰金5000ユーロ(約64万円)と残りシーズンの執行猶予がついた1戦の出場停止を言い渡した。