英国オートスポーツの取材によると、今週ジュネーブで開かれたミーティングにおいて、レース中の給油の復活は検討されない方向性が定まった。
FIA会長のジャン・トッドは、先週開催された英オートスポーツ・インターナショナルで、この話題が再度、議題入りすると発言していた。しかしF1コミッションの後に行われたストラテジー・グループ・ミーティングにおいて、給油の復活はコスト削減案とは相容れないというのが一般的な考えであるとの結論に至った。
給油復活については2015年5月にも、2017年の興行を改善するための案として議題にのぼっている。これはドライバーの支持を得たものの、チームの反対にあい却下となった。今月になってこの話題が再浮上。トッドは給油復活によるコスト上昇は、1チームあたり年間5万ユーロ(約640万円)程度だと試算し、懸念はないとしている。しかしジュネーブでのミーティングに先立って、ウイリアムズのチーフテクニカルオフィサーであるパット・シモンズが、コストはトッドの試算を上回るとの考えを示している。
「誤った情報には気をつけるべきだ」とシモンズ。
「給油はレースへの影響も大きいが、コストもそのぶん高くなる。ジャン・トッドは年間5万ユーロ(約640万円)の増加と言っているが、桁がひとつ足りない。これは憂慮すべきだ」
「機材の空輸コストが17万5千ポンド(約2970万円)。初年度に機材を購入し、維持していくためのコストが20万から25万ポンド(約3400~4200万円)といったところだ。さらにはこれらを担当する専任スタッフを雇用することになるので、コストは大きく増加する」
シモンズはどんな形であれ、給油の復活はレースにマイナスな影響を及ぼすと考えている。
「現状ではレース前に戦略を決定することができるので、レースが始まってからはより俯瞰からの戦術を考えている」
「タイヤの状況を見ながらピットストップのタイミングを決める。予想通りのタイミングである必要はないし、ライバルたちの出方を見極めなければならない」
「給油をすることになったら、24周を走れるだけの燃料を入れて、24周走行する。それよりも早くピットに入ると、大きな痛手となる」
「振り返ってみると、給油を廃止してからはより良いレースができるようになった。これではまるで退化だ」
ウイリアムズのチーム副代表であるクレア・ウイリアムズも、シモンズと同様の意見だ。
「過去にも議題にのぼり、賛同を得なかった案なので、かなり驚いています」とクレア。
「けれども競技を改善していくために何が必要かを考える上では、こういった会話を続けていかなければなりません。少なくともコストの点で、ウイリアムズとしては給油の復活は望みません」
「マニュファクチャラーはハイブリッドパワーユニットに何億ユーロもの金額を投資してきて、道路関連産業とより関わりが深いのはこちらであるというのが、私個人の考えです」
「給油を復活させて、F1がガソリンを浪費するスポーツであるとの印象を植え付けるのは、その考えに反する。まったくもって反対です」と発言。給油復活にメリットは少ないと考えている。