昨年のアメリカGPでの豪雨が、F1タイヤサプライヤーのピレリにとってはウエットタイヤ開発の理想的なベースラインになったという。
ピレリは1月25日と26日の2日間、南フランスのポールリカール・サーキットで以前から切望していたウエットタイヤのテストを行うことになっている。
ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーによると、昨年10月のオースティンでのイベントが暴風雨に見舞われたおかげで、彼らは貴重な情報を収集することができ、今回のテストではその知識が生かされるという。
「オースティンでは、我々がF1に参入してからの5年間で最良のウエットテストができた」と、ヘンベリーは英国オートスポーツに語っている。
「とても興味深い経験だった。過去のウエットコンディションでは、断片的な情報しか得られなかったが、オースティンではそれよりもずっと実際的なデータを収集できたからだ」
「チームが日曜はウエットレースになると予想してクルマを走らせたので、プラクティスでのデータは我々にとってもたいへん有益なものになった。残念ながら、インターとフルウエットのクロスオーバーポイントは、我々の望んだようにはならなかった。しかし、フルウエットでかなりの周回が重ねられ、今後タイヤをどう改良していくべきかについて、質の高い情報を得ることができた」
「今回、ポールリカールでテストを行うことにより、オースティンで学んだことの確認と修正ができるだろう」
テストでの重点領域のひとつは、ウエットタイヤの耐アクアプレーニング性能だという。
「シーズン中にはいくつものウエットレース、あるいはウエットセッションがあるとはいえ、これまで本格的なウエットテストを実施したことはなかった」と、ヘンベリーは言う。
「ウェットタイヤの開発と使い方には、とても複雑な要素が絡んでくる。我々の製品は濡れた路面でも優れた性能を発揮してきたが、技術者は常にさらなる改良を望むものだ。今回のテストでは、アクアプレーニングを起こした時のタイヤの挙動をくわしく調べたいと思っている。過去には信頼できるデータを集める機会がなかったからだ」
「(オースティンでの経験から)どの部分を改善する必要があるかについて、以前よりもずっと理解が深まっている。情報が得られれば、それに基づいてアイデアを試し、改良を進めることができる」
ポールリカールでピレリのためにウエットタイヤを履いたマシンを走らせるのは、フェラーリ、レッドブル、マクラーレンの3チーム。レッドブルとフェラーリは、レースドライバーのダニエル・リカルドとダニール・クビアト、キミ・ライコネンとセバスチャン・ベッテルがドライブする予定だが、マクラーレンはテストドライバーのストフェル・バンドーンを起用するようだ。