2016年01月23日 20:01 リアルサウンド
来日中のケイト・ブランシェットが、昨日1月22日、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われた『キャロル』のジャパンプレミアに登壇した。
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『キャロル』は、パトリシア・ハイスミスが別名義で発表した小説を原作に、『エデンより彼方に』のトッド・ヘインズ監督が映画化したラブストーリー。1950年代のニューヨークを舞台に、百貨店で働くテレーズ(ルーニー・マーラ)が、店を訪れた美しい婦人のキャロル(ケイト・ブランシェット)と出会い、恋に落ちていく模様を描き出す。先日発表された第88回アカデミー賞ノミネーションでは、主演女優賞(ケイト・ブランシェット)と助演女優賞(ルーニー・マーラ)を含む6部門にノミネートされている。
ブランシェットは、MCのクリス・ペプラーの紹介を受け、場内に設置されたレッドカーペットを歩きながら登場。舞台に上がると、「こんなに暖かくお迎えいただき、本当に嬉しく思っています。ひとりでここに立つのは少し心細いです。というのは、この作品は(トッド・ヘインズ)監督、ルーニー(・マーラ)、カメラマンのエド(・ラックマン)、衣装のサンディ(・パウエル)、その他にも作曲家やヘアメイクさんなど、たくさんの人たちの力によって作られているからです」と、キャストやスタッフを讃えた。
第88回アカデミー賞で主演女優賞にノミネートされた気持ちを聞かれれると、「本当に素晴らしいことだと思います。同じ業界の方々に認められてのノミネーションということになりますから、それは大変栄えあることです」と、率直な気持ちを述べながら、「この作品では、私とルーニーが演じるキャロルとテレーズ、2人の女性の愛が描かれています。なので、やはりルーニーと2人でWノミネートされたということが何よりも嬉しいです」と、助演女優賞にノミネートされたマーラととともにノミネートされたことを喜んだ。
自身が演じたキャロルという女性については、「映画の舞台となる1950年代当時は、同性同士の愛は犯罪だったんです。原作はクライムものの女王として知られているパトリシア・ハイスミスによるものですが、『キャロル』では、殺人や銃が出てくるのではなく、その“犯罪”が“愛”だというストーリーなんです」と作品の時代背景にも言及しながら、「私の演じるキャロルは、ありのままの自分であるか、あるいは母親としてどうあるべきなのか、非常につらい選択を迫られるような場面もあります」と説明した。
ルーニー・マーラとの女性同士のラブシーンもある本作。男性とのラブシーンの違いについて問われたブランシェットは、「これこそが映画の力だと思いますし、トッド・ヘインズ監督だからこそできた映画でもあると思います。女性と男性とか、女性同士とか、そういったジェンダーの垣根を超えて、『ロミオとジュリエット』のような壮大な純粋な愛が描かれています。つまるところは、“愛は愛である”そこに変わりはないのです」と答える。
中盤には、ケイト・ブランシェットの大ファンだという女優の寺島しのぶが花束を持って登場。ブランシェットに花束を手渡し、「これぞ映画というか、理屈がない、観ているだけでその世界に自然に入り込める作品。登場から観た人の心を掴んで離さない、ケイトさんとルーニーさんのお芝居が素晴らしかったです」と作品の感想を語った。それを受けブランシェットは、「寺島さんのような、経験もあって素晴らしい役者さんに、そういった言葉をかけていただけるのはとても嬉しいです。ルーニーにも伝えておきます」と寺島の言葉を喜んだ。
MCのペプラーが、寺島にとって初対面となった生のブランシェットの印象を寺島に聞くと、ブランシェットが「恥ずかしいからそんなこと聞かないでください(笑)」と照れる場面も。寺島は「女優さんとして尊敬します。彼女が選ぶ仕事とか、核を掴む役の入り方とか、憑依する感じとか…。(ヘインズ監督の『アイム・ノット・ゼア』で)男性の役もされていますからね。この人はこういう人物なんだという掴み方がとても素晴らしくて、それをいとも簡単にさりげなくされているところが、同業者として素晴らしいなと思います」と賞賛した。寺島から、今後どういう役に挑戦したいかを問われたブランシェットは、「力士の人生ものかしら」と答え、それに対し寺島が「太らないといけないですよ(笑)」という和やかなやりとりも行われた。
マスコミ向けのフォトセッション時には、ブランシェットが撮影そっちのけで寺島と談笑する場面も。その後、ブランシェットのカウントダウンにより壇上に設置されたバルーンが割れ、ハート型のチョコレートが入ったバルーンがステージに登場。少し早いバレンタインチョコレートが観客に振る舞われた。
最後に、寺島は「本当に夢のような美しい映画だと思います。2回も3回も観たくなる美しい映画でした。どうぞみなさまお楽しみください」とコメントし、ブランシェットは「寺島さん、力強いサポートをありがとうございます。また、配給会社の方々も一生懸命頑張ってくださっているこの作品、我々も本当に愛で作った作品です。みなさまにも同じように感じていただければ幸いです」という言葉を残し、舞台挨拶は終了した。(リアルサウンド編集部)