シルバーストン・サーキットは英国オートスポーツ調べによれば、長い歴史上で初めて、イギリスGPの開催で黒字を出した。ノーザンプトンシャー州に位置するシルバーストンは年度末の最終決算をまとめており、代表取締役のパトリック・アレンは、2015年のF1開催で利益を上げたことを認めている。
アレンは1年前に現在の役職に就任し、99ポンド(約1万6500円)のチケットを初めて販売するなど、積極的な価格設定を導入した。その結果、2015年イギリスGPは決勝日に14万人の入場者数を記録し、3日間で35万人を動員した。
アレンは「口座を確認し、ここ何年かでは初の増益を得た。財政的には好ましい状態にあり、良い方向転換ができた。シルバーストンの全員がチームとしてひとつにまとまり、現在の状況を作り上げている。みんなが精一杯の仕事をしなければ12カ月でビジネスを転換することはできない。ありがたいことに、我々は成し遂げることができた」と語っている。
アレンの取った挑戦的な方策はチケット価格だけではなく、数多くの分野で事業の合理化にも着手した。
「多くの供給契約先と再交渉を行い、グランプリ開催にあたるコストを大幅に削減した。入退場の渋滞緩和にも努めたことで、観客の満足度も高くなった。チケットに関して言えば、確かにプロモーションとして平均価格を大幅に下げたが、日曜には2014年の12万人と比較して14万人の観客が訪れている。つまり、さらに2万人の人々が素晴らしいイベントを見るために、お金を支払ったことになる。十分な数の観客を得るためなら、コストは下げられる。かなりシンプルなビジネスのメカニズムと言える」
「前に述べたように、ファンが我々の開催するグランプリを支持してくれて、日曜に20万人を動員することができれば、また翌年には価格を下げられる。そうなれば利益をチケット価格に再投資することができ、ファンからのサポートを維持できる」
「過去の経営体制下のように観客動員が落ちれば『バーニー・エクレストンに支払う金額を捻出するために、価格を上げなければ』ということになる。そうなると少数の観客にしか購入できないチケットとなり、動員数が下がって、また価格の上昇を招く」
「私は、その逆を劇的に行った。いまでは、これが可能であると、みんなが知っている。だが、これで満足してはいけない。これからはどのようにして事業を推進していくかを考える」
イギリスGPの財政状況を改善した中心人物は、さらなる増益を目指す発言をしている。