過去最多となる全21戦の2016年シーズンを前に、メルセデスが各地を転戦するスタッフを「シフト制」とすることを検討している。
チームをたばねるトト・ウォルフは、F1カレンダーの拡大によってチームスタッフが体力の限界に直面し、疲労困憊してしまう可能性について以前から懸念を口にしてきた。年間レース数を増やしたいというF1総帥バーニー・エクレストンの考えに理解を示す一方で、エンジニアやメカニックなど長時間の勤務につく人々への配慮も必要と感じている。
「レース数を増やすことには、功罪の両面がある」と、ウォルフは英国オートスポーツに語った。
「商業権所有者の視点から言うと、レース数を増やせば収入が増え、テレビ放送と観客動員も増える。これはプラス面だ。ただ、イベントのステータスという点では、マイナスかもしれない」
「チームの視点から言うと、バーニーがまとめたカレンダーは、そのまま受け入れるしかない。ここ数年チームの分配金収入は増えてきている。収入増が何よりも重要であることは確かだ」
「私たちとしては、まずチームの体制に注意を払う必要がある。昨年の19戦でもチームは精神的にも肉体的にも限界に達していた。全21戦を戦い抜くために、さまざまな方法を検討している。現在のチーム体制では、21戦のカレンダーに対応できるという自信を持てない。移動方法、時差ボケへの対処、休暇の取り方をどうすべきか、あらゆる面を考慮しながら思案しているところだが、特にハードな仕事を受け持つスタッフについては交替制を採るかもしれない」
とはいえ一部のスタッフは全戦に帯同する必要があり「シフト制」を全員に適用できないことは、ウォルフも承知している。
「現実問題として、その人がベストであるという理由から、他の誰かと交替できないメンバーも多い」
「フライアウェイのレースが続くシーズン終盤は、体力的に特に厳しくなるだろう。とにかくチームとスタッフひとりひとりがオーバーワークにならないようにしたい。チームの能力を高い水準に保ちながら、無理のないように働いてもらうにはどうすればよいか、よく考える必要があると思う」