2016年01月21日 09:31 弁護士ドットコム
出会い系サイトで知り合った女性に会いに行ったら、後ろから怖そうな人が出てきて金を脅し取られた・・・。そんな身の毛もよだつシチュエーションを経験した男性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに相談を寄せました。いわゆる「美人局(つつもたせ)」の被害に遭ったらどうすればいいのか? 森本 明宏弁護士が解説します。
Q. 恥ずかしながら先日、美人局の被害にあいました。
出会い系サイトで知り合った女性(成人女性です)に会いに行ったところ、男性も待ち構えており、「買春は犯罪行為だ、金を払わないと警察に通報するぞ」と言われました。私はパニックになってしまい、お金を払ってその場を去りました。性行為などは全くしていません。
お金については、高い授業料だったと諦めがついています。ただ、相手方に携帯番号と氏名を知られているため、今後もし連絡が来たら・・・と非常に心配です。
身から出た錆とはいえ、精神的にとてもまいっています。今後に備えて、被害届を出すべきかとも思っていますが、届けを出したら家族や職場に伝わってしまうのではないかと心配です。どうすればいいですか?
A. 脅迫行為が続くようであれば、警察に対応を求めましょう
「美人局」は、「恐喝罪」という犯罪です。
支払ったお金については、法律上は返還を請求できますが、費用や、回収できる可能性などの問題から、あきらめた方がいい場合も多いでしょう。
ご相談者は、男性から「買春は犯罪行為だ」と言われたということです。18歳以上の女性との売春行為は、「売春防止法」により違法とされていますが、罰則がないため処罰されることはありません。
しかし、18歳未満の女性との売春行為は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」により処罰の対象となっています。5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
相談者は、「性行為などは全くしていない」と言っていますが、仮に性行為をした場合でも、相手が18歳以上であれば、逮捕されることはありません。ただし相手が18歳未満であれば、逮捕される可能性があるので、弁護士にご相談の上、適切な方法で被害申告をし、逮捕される危険性をできるだけ抑えることが考えられます。
美人局の被害に遭った場合、「今後また脅迫されたら・・・」と不安に思うかもしれません。脅迫行為が続くようであれば、被害届の提出も含め、警察に対応を求めることをお勧めします。
被害届の提出はどこの警察署にもできますが、被害場所の所轄の警察署のほうがよりスムーズに提出できると思います。警察には守秘義務がありますので、理由なく家や職場に被害届を出したことを伝えることはないでしょう。
どうしても不安でしたら、警察に、家や職場に伝わらないように配慮してほしい旨を伝えるなどの方法をとることも考えられます。
【取材協力弁護士】
森本 明宏(もりもと・あきひろ)弁護士
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010~2011年度、愛媛弁護士会副会長。愛媛地方最低賃金審議会公益委員・日本スポーツ法学会会員。http://www.facebook.com/lawyer.morimoto
事務所名:四季法律事務所
事務所URL:http://www.shiki-law.com/