『第154回芥川龍之介賞』と『第154回直木三十五賞』の選考会が本日1月19日に東京・築地の新喜楽で行われ、『芥川賞』に本谷有希子『異類婚姻譚』、滝口悠生『死んでいない者』、『直木賞』に青山文平『つまをめとらば』が選出された。
4度目のノミネートで『芥川賞』に輝いた本谷有希子は、1979年生まれ石川出身。2000年に劇団、本谷有希子を立ち上げ、2009年には作・演出を手掛けた『幸せ最高ありがとうマジで!』で『第53回岸田國士戯曲賞』を受賞している。小説家としては『ぬるい毒』で『第33回野間文芸新人賞』『自分を好きになる方法』で『第27回三島由紀夫賞』を受賞。昨年10月に『群像11月号』で発表された『異類婚姻譚』は専業主婦を主人公に、他人同士が身内になる「夫婦」という形式への違和感をユーモアを交えて描いた作品だ。
同じく『芥川賞』に輝いた滝口悠生は1982年東京生まれ。2011年に『楽器』でデビューし、昨年『愛と人生』で『第37回野間文芸新人賞』を受賞したほか、昨年には『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』で『芥川賞』の候補に挙がった。11月に『文學界12月号』で発表された『死んでいない者』は、大往生を遂げた男の通夜に集まった親類たちが、死者や不在の人に想いを馳せる様を描いた一晩の物語だ。
『直木賞』を受賞した青山文平は1948年生まれの神奈川出身。経済関係の出版社に18年間勤務した後、1992年からフリーライターとして活動し、同年に「影山雄作」名義で発表した『俺たちの水晶宮』で『第18回中央公論新人賞』を受賞した。2011年に青山文平名義での創作を始め、『白樫の樹の下で』で『第18回松本清張賞』を受賞したほか、2014年には『鬼はもとより』で『直木賞』候補に選出された。昨年発表された『つまをめとらば』は、独り身を貫いていた56歳の男が妻をもらう決断するまでを描いた表題作など6篇を収めた時代小説。