FIA会長ジャン・トッドが、2017年に決勝中の再給油を復活させることを改めて検討すると述べた。これに対し、ウイリアムズのチーム副代表クレア・ウイリアムズとテクニカルディレクターのパット・シモンズが強い反発を示している。
昨年5月、F1ストラテジーグループが、F1のショー的要素を改善するための策のひとつとして2017年に決勝中の給油を再び導入することで合意したことが発表された。しかしその後、全チームが詳細な分析を行った結果、再給油が行われていた時期の方がコース上のオーバーテイクが少なかったなどとして、大きなメリットはないと結論づけ、7月、この案を推し進めないことに決めた。
ところが週末に行われたレースイベント「英オートスポーツ・インターナショナル」においてトッド会長は、給油復活案を今週の会合で再度検討する予定だと語った。
これに対し、クレア・ウイリアムズは、現在F1に環境を配慮した要素を取り入れつつあるにもかかわらず、レース中の再給油を復活させれば、F1が打ち出そうとしているイメージが損なわれ、マニュファクチャラーたちの努力が無駄になってしまうとして、はっきりと反対の姿勢を示した。
「マニュファクチャラーは新しいハイブリッド・パワーユニットに莫大な資金を費やしてきました」とクレア・ウイリアムズが語ったとMotorsport.comが伝えた。
「市販車やエネルギー効率とのかかわりが非常に深い技術です。私たちの社会では今、そういったものが必要とされているのです」
「再給油を復活させ、F1を燃料を大量に消費するスポーツのように見える状態に戻してしまうのだとしたら、今までのメッセージをすべて踏みにじることになります。ですから私は(再給油には)断固として反対です」
パット・シモンズは、給油によってレースで選択できる戦略の自由度が低くなってしまうという点を反対理由として挙げた。
「(再給油は)レースの盛り上がり、不確かさを奪う」とシモンズ。
「これを導入すればレースは決まり切ったものになってしまう。今は自分たちで戦略を決定できる。決勝において戦略上の考えを巡らせることができるのだ」
「今はタイヤの状態を元にしてピットストップを決める。それは予測と違っている場合もあるし、ライバルたちがどういう状態かも影響してくる」
「だが給油を行う場合、ある程度状況は決まってしまう。24周まで持つ燃料を入れたら、24周で必ずピットインしなければならない。それより長く走ることはできないし、それより前にピットストップするとダメージは非常に大きくなる。つまり本当にいいと思うタイミングでない時にピットストップを行うことにもなり得るのだ」
「過去に再給油を行っていた時と比べると、それが禁止された後の方がレースの面ではずっとよくなっている。つまりこれは後退と言えるだろう」
またシモンズは、ピットストップを短時間で行うために高速で給油を行うことになれば、それだけ危険な要素が増えるとして、安全面の懸念も示している。