2016年01月13日 07:21 弁護士ドットコム
元妻が再婚した―—。風のたよりにそんな噂を聞いたとき、胸をよぎるのは一抹の寂しさ?それとも「養育費減額」への期待なのでしょうか?
弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、ある男性がこんな質問を投稿しました。「3年前に離婚した元妻が、再婚したそうなんです。私は今、養育費を支払っていますが、家計はギリギリ。再婚を機に減額してもらえないかと思っています」。
養育費を減額できるのか、大和幸四郎弁護士に詳細な解説をしていただきました。
A. 再婚相手と子が「養子縁組」をした場合は、減額できる可能性も
基本的には、離婚する際に取り決めた養育費の金額や支払い期間を、変更することはできません。
ただし、養育費の金額を決めた後になってから、その当時には予測できなかった事情変更があった場合は、養育費を減額(もしくは増額)できる可能性があります。養育費の支払いは、子どもが成人するまで続きます。その間、養育費を支払う側、受け取る側双方の経済的な状況が変化する可能性は充分に考えられるでしょう。
養育費を減額できるケースの一つが、元妻の再婚相手が、連れ子と「養子縁組」をした場合です。養子縁組をすることによって、実父だけではなく法律上の父親(養親)、つまり再婚相手にも扶養義務が生じます。このような場合、裁判例では、養親の扶養義務の方が、実父の扶養義務よりも優先されるという解釈が示されています。
このようなケースで、実父が「養親にも養育費の負担をしてもらいたい」と思えば、減額できる可能性があります。ただ、自動的に減額されるわけではないので、まずは当事者同士での話し合いが必要です。話し合いで合意できない場合は、家庭裁判所に養育費減額の調停を起こす必要があります。
養子縁組をした場合以外にも、養育費の減額が認められることがあります。たとえば、次のようなケースです。
・養育費を負担している親の失業や、転職によって収入が減った場合
・養育費を負担している親が病気やケガをして医療費が大幅に増えた場合
・養育費を負担している親が再婚して、再婚相手との間に子どもができた場合
・子どもを養育している親が再婚し、再婚相手の扶養に入るなど経済的な余裕ができた場合
逆に、養育費が増額できるのは、「子どもを養育している親が失業した」「子どもが病気やケガで医療費が増大した」などの場合です。
養育費の金額変更が認められるためには、相手方に、減額・増額に応じられるだけの経済力があるかどうかがポイントになります。
【取材協力弁護士】
大和 幸四郎(やまと・こうしろう)弁護士
佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・消費者問題対策委員会委員長。佐賀大学客員教授。借金問題、刑事・男女問題など実績多数。元「西鉄高速バスジャック事件」付添人。
事務所名:武雄法律事務所
事務所URL:http://www.takeohouritu.jp/