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TOKIO・長瀬智也主演のドラマはなぜハズレがないのか? 役者としての個性を考察

2016年01月12日 19:41  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 TOKIOの長瀬智也が、2016年1月13日からフジテレビ系水曜22時枠で始まる連続ドラマ『フラジャイル』にて、同局ドラマとしては『ムコ殿2003』以来13年ぶりとなる主演を務める。『フラジャイル』は、漫画誌「月刊アフタヌーン」で連載中の草水敏氏原作、恵三朗作画の同名漫画を実写化したもので、病気の原因を解明し、患者への診断を科学的に確定させる「病理医」に焦点を当てた医療ドラマだ。


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 長瀬はこれまで数多くの名作ドラマに出演し、「長瀬智也が主演するドラマはハズレがない」と言われるほど、ドラマファンからの厚い信頼を築いてきた。それは長瀬自身が、単純に作品に恵まれてきただけではなく、彼が持つ俳優としてのポテンシャルが、名作を生み出す要因のひとつだったからだろう。そこで本稿では、長瀬の俳優キャリアを振り返るとともに、その実力を検証し、新作『フラジャイル』の見どころを明らかにしていきたい。


 俳優としてターニングポイントになった作品に、まずは1996年から始まるフジテレビで放送された『白線流し』が挙げられる。長野県松本市を舞台に、高校卒業間近の男女7人の青春を描いたこの作品は、“ポスト北の国から”とも呼ばれ、彼らの成長とともに定期的にスペシャルドラマが作られた名作だ。丁寧でノスタルジックなドラマ作りの中で、長瀬は定時制に通う純粋で哀愁のある男の役を演じ、俳優としての認知度を高めた。


 2000年にTBSで放送され、若者にカルト的人気を誇った『池袋ウエストゲートパーク』での真島誠役も、長瀬にとって転機となった作品だ。元は有名だった不良少年が、池袋のトラブルシューター的役割として「めんどくせえ!」と言いつつも、様々なトラブルやカラーギャングの抗争を解決していく物語で、長瀬の代表作とも言われている。脚本家の宮藤官九郎と出逢い、窪塚洋介や妻夫木聡など同世代の役者と共演したことで、従来のジャニーズ俳優の枠にとどまらない刺激的な演技を披露するに至った。カリスマ的な存在感を放つ役柄だったことから、多くの男性ファンも獲得している。この作品以降、ワイルドだけどちょっとヤンチャで変わり者の役が定着した長瀬は、その後、『ビッグマネー』、『タイガー&ドラゴン』、『マイ★ボス マイ★ヒーロー』、『クロコーチ』などの作品でも、そうした役柄を演じている。


 2001年フジテレビで放送された『ムコ殿』では、天涯孤独の抱かれたい男NO.1のシンガーソングライター・桜庭裕一郎役を演じた。温かい家庭のある一般人の彼女とのラブストーリーである本作では、芸能人としての顔と私生活の顔、その硬軟使い分ける演技を披露したほか、本職であるボーカリストとしての魅力も発揮した。


 上記の作品群で一貫して言えるのは、長瀬が演じるのは、芯を曲げない男の役柄が多く、そのキャラクターの強さが物語を動かす原動力となっていることだ。今回の『フラジャイル』で長瀬演じる岸京一郎は、「強烈な変人だが極めて優秀」と評される病理医で、患者の命を救うため、そして己が信じる医療の正義のために行動をする偏屈イケメン天才医師だ。強烈な個性を備えた役柄は、まさに長瀬に打ってつけといえよう。長瀬もまた公式ホームページで、「自分なりの個性で主人公の個性を紐解いて、いい意味での偏屈さを出しながらつくっていければ、と思っています。僕自身、主人公のキャラクターは大好きで、魅力的に映ります。自分がそういう風に感じているところを、ドラマを見てくださる方にも同じように感じてもらえたら嬉しいです」とコメントしている。


 共演者には、武井咲、野村周平、北大路欣也、そして長瀬とは『池袋ウエストゲートパーク』や『ムコ殿』のほか、2010年に宮藤官九郎脚本のドラマ『うぬぼれ刑事』などで数多く共演している小雪が名を連ねている。小雪は出産後初となるドラマで、いまの長瀬とどんな掛け合いを見せてくれるのかにも注目だ。また、脚本家の橋部敦子は、『僕の生きる道』、『僕と彼女と彼女の生きる道』、『僕の歩く道』の「僕シリーズ3部作」や、『不毛地帯』、『フリーター、家を買う。』などを手がけてきた、フジテレビドラマきってのヒットメーカー。医療ドラマは数あれど、医療上最も重要とされる病理医を題材にするということからも、挑戦的な作品であることが伺える。長瀬の強烈なキャラクターが、この物語をどう動かしていくのか、期待が高まるところだ。(本 手)