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結婚費用「1000万円」親に負担してもらった・・・「贈与税」を払う必要がある?

2016年01月09日 09:31  弁護士ドットコム

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挙式・披露宴・披露パーティに夢を描く女性は多い。しかし、これから結婚生活でさまざまな費用が発生する新婚カップルにとっては、一生で一度の日とはいえ、手痛い出費ではないだろうか。


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東京都内の有名ホテルでの挙式・披露宴パーティを予定しているマリコさん(29)の場合、招待客は150名を超え、生花などの装飾にこだわることもあり、総額が1000万円を超えるという。だが、その大半を、彼女の両親が負担することになっているため、なんとかなりそうだ。



ただ、こんな心配をしているという。「両親からは、1000万円を結婚費用として用意すると言われています。でも、これって本当は、贈与税を支払わなければいけないのではないでしょうか」



父親が開業医のマリコさんが受けた援助額ほどではなくても、親や親族からの援助がある新郎新婦は多いだろう。気になるのは、この援助が「贈与」とみなされるかどうか、という点だ。



親から子への「結婚資金の贈与」について、税金面で気をつけるべき点はなんだろうか? 毛満勝彦税理士に聞いた。



●「通常認められる範囲内であれば、贈与税は課税されない」


毛満税理士は「そもそも結婚資金の贈与については、通常認められる範囲内であれば、贈与税は課税されません」と話す。なぜだろうか?



「まず、子の結婚式および披露宴の費用を親が負担した場合の、贈与税の課税関係を説明しましょう。



結婚式・披露宴の費用を、新郎新婦と両家の誰がどれくらい負担するかは、その結婚式・披露宴の内容、招待客との関係・人数や地域の慣習によってさまざまです。各事情に応じて、本来費用を負担すべき者が、その費用を分担している場合には、そもそも贈与にはあたらないことから、贈与税の課税対象となりません。



マリコさんは本来は自分が負担すべきと考えていることから、親が支払うことは『贈与』にあたると考えているようです。しかし、親が結婚式費用を負担するのが地域やその家の慣習ということもあるでしょう。その場合には、親が負担することは贈与と考えられず、課税対象とはなりません」



また、昨年4月に「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が始まり、結婚式や保育料などの子育て資金を最高1000万円まとめて贈与できる制度が始まっている。



「孫やひ孫に対して、この措置にもとづき贈与しておけば、相続税課税時に、相続税の二割加算がされないというメリットがあるといえます。結婚式・披露宴の費用のほか、住居費、不妊治療費などが対象になっています」



●結婚資金を預貯金や株式、家屋の購入費用に充てるのはダメ


また、結婚する際に、花嫁道具や新居の費用などとして、親から家財道具やその資金を提供してもらうことは珍しくない。気をつけるべき点はあるのだろうか。



「子が親から、家具・寝具・家電製品等、婚姻後の日常生活を営むのに必要な物品の贈与を受けた場合にも、贈与税の課税対象とはなりません。または、それらの購入費用に充てるために金銭の贈与を受け、その全額を物品の購入費用に充てた場合も同様に、贈与税の課税対象ではありません。



ただし、贈与された金銭が預貯金となったり、株式や家屋の購入費用に充てられた部分については、贈与税の課税対象となります。なお、住宅の購入資金の贈与については、申告が必要な規定として、『住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税の規定』があります。



今回のマリコさんの場合も、結婚式の費用を負担してもらっただけならば、贈与税はかかりません。しかし、贈与された金銭を使い切らずにあまった額について、預金等をした場合には、贈与税が課税される点に注意が必要です」



毛満税理士はこのように指摘していた。



【取材協力税理士】


毛満 勝彦(けま・かつひこ)税理士


経営者に寄り添う税理士であるよう心掛けています。会社の経営状況を一番知っているのは顧問税理士です。顧問税理士を税金対策や申告をする人というだけでなく、経営に対する悩みの相談相手として使って下さい。当事務所では、経営計画書、月次決算書を使い、顧問先様の未来を一緒に考えます。


事務所名   : 毛満税理士・社会保険労務士事務所


事務所URL:http://www.kematax.com/


(弁護士ドットコムニュース)