2016年01月09日 07:01 弁護士ドットコム
別居中や離婚したあと、子どもが一緒に暮らしていない側の親と会うことを「面会交流」といいます。ただ、離婚した相手に子どもを会わせることを「イヤだ」と感じてしまう親も多く、面会交流はトラブルの元になりがちです。
弁護士ドットコムの法律相談にも、「元夫に会わせることは当然だと思っています。でも義父母に会わせたくないんです」という女性からの投稿がありました。この女性の場合、離婚理由が、同居していた義父母との折り合いの悪さでした。
「結婚していた時から私への物言いは荒く、悪口を吹き込むこともありました」といい、面会交流に義父母が同席した場合、同じようなことがあれば「子供に悪影響がありそうです」と心配しています。
こうした場合、面会交流に義父母が同席しないように要求できるのでしょうか。面会交流のルールについて、畑中 優宏弁護士に詳細な解説をしていただきました。
A. 「当事者で話がまとまらない場合は、裁判所で調停をします」
子どもとの面会交流のルールは、原則として両親の話し合いで決めます。ただ、離婚した夫婦間では、「話もしたくない」「連絡も取りたくない」と感情の対立がある場合が少なくなく、話し合いがまとまらないことも多々あります。
そのような場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて、第三者を交えた話し合いでルールを決めることになります。具体的に決めるのは、「面会の頻度や日数、場所、宿泊をさせるかどうか」といったことです。
その際、家庭裁判所の調査官(心理学や教育学などを勉強してきた専門家)が、子どもの話を聞いたり、裁判所内で試行的な面会をしてその様子を観察するなどして、適切なルール作りの手助けをしてくれることもあります。
ルールを決める際に大切なのは、あいまいな点を残さないことです。特に、ルールを決めた後で、元夫婦間で話し合いができなくなる可能性があるなら、「毎月第三土曜日の十時から十七時まで、子どもの受け渡しは○○駅の改札で」というように、具体的に決めましょう。
親権を持たない親と子どもとの電話やメールについても決めることができます。子どもが比較的低年齢であれば、週に何回とか、何時から何時まで、と頻度や時間を決めておいた方がいいかもしれません。毎日のようにだらだらと電話やメールに時間を使い、子どもの生活が乱れる可能性があります。
ご相談者のように、「義両親と会わせたくない」という話もよく聞くケースです。面会交流は基本的に、親権を持たない親と子どもとの間で行われます。義父母に子どもを会わせる義務はなく、「義父母と会わせない」というルールを決めることもできるでしょう。
ただ、子どもにとって、自分を愛してくれている大人がたくさんいることは、成長する上でのプラスになります。自分の気持ちを一旦切り離して、子どもにとって祖父母と会うことがいいことかどうか、考える必要があるでしょう。
面会交流の一番大切な目的は、子どもの健全な成長のためにプラスになるように、離れた親とも継続してふれあう機会を作ることです。離れた親や祖父母とどのように交流させるのがその子のためになるのか、という視点で考えることが非常に重要です。
【取材協力弁護士】
畑中 優宏(はたなか・まさひろ)弁護士
公立小学校の教員を8年間勤めた後、弁護士をめざして司法試験に合格しました。学校現場の問題には詳しく、相談も多く受けています。
事務所名:弁護士法人 湘南よこすか法律事務所 逗子事務所
事務所URL:http://sy-law.jp/