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キッチンリフォームで業者が「ライト」をつけ間違えた・・・費用を安くしてもらえる?

2016年01月08日 11:31  弁護士ドットコム

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キッチンのリフォームを業者に頼んだら、調理するときに手元を照らす「ライト」の位置が間違っていたーー。そんなトラブルに遭遇したと、東京都内在住のTさん(40代)が憤慨している。


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Tさんの家ではキッチンが古くなり、ガスレンジの点火も悪くなったので、思い切ってリフォームすることにした。知り合いが紹介してくれた業者に発注したが、仕上がりを確認したら、本来は「吊り戸棚の底」に設置されるはずのキッチンライトが「奥の壁」についていた。「これはおかしい」と業者に文句を言うと、リフォームを担当したスタッフが図面を見落とし、誤った場所に取り付けてしまったことを認めた。



結局、正しい場所に設置し直すことになったが、そのためには奥の壁に張ったパネルをまるごと取り替える必要があり、別の日に改めて作業をしなければいけない。その結果、当初予定されていた施工日以外にも、Tさんは時間を割いて、ライトの再設置に立ち会わないといけなくなってしまった。



このような場合、注文主に余計な負担が生じたとして、「リフォームの費用を安くしてほしい」と施工業者に請求することはできるのだろうか。加藤幸英弁護士に聞いた。



●リフォーム工事の完了が遅れたのは「債務不履行」


「施工業者の債務不履行により注文主が損害を受けた場合、注文主は業者に対して、その賠償を求めることができます(民法415条)」



加藤弁護士はこう切り出した。今回は、賠償を請求できるだろうか。



「本件では、照明器具を壁に設置してしまった業者に『過失』があると言えます。また、その結果、当初の予定よりも工事の完了が遅れてしまったわけですから、業者は債務不履行(履行遅滞)となっていると言えます。



そして、工事の対象となっているのはTさんの自宅ですから、再工事にはTさんの立ち会いが必要となるでしょう。つまり、業者の『債務不履行』の結果、Tさんは、当初の予定日以外にも立ち会わなければならなくなったという『損害』を受けています」



Tさんは、工事に立ち会うために、仕事を半日ほど休む必要があるかもしれない。そうなった場合、どう考えればいいのか。



「立ち会いをした分だけTさんの給料が減ったなど、Tさんが『損害』を受けたことを証明できれば、業者に賠償を求めることができます。



そして、その場合には、リフォーム費用の支払いにあたって、損害の賠償に相当する金額を差し引くよう求めることになるでしょう」



どうやら、損害が発生したことを証明できれば、リフォーム業者に支払うお金は少なくなりそうだ。ただ、注意点がないわけではない。



「工事に立ち会ったことによってTさんに実害が発生したと言えるかどうかについては、慎重に検討しなければならないでしょう」



加藤弁護士はこのように指摘していた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
加藤 幸英(かとう・ゆきひで)弁護士
昭和47年12月愛知県生、愛知学院大学法学部卒、不動産賃貸業経営、同大学法科大学院修了。平成22年弁護士登録。日本交渉学会会員、同大学非常勤講師。取り扱い分野は、不動産関連事件、遺言・相続及び各種交渉等。
事務所名:隼綜合法律事務所
事務所URL:http://hayabusa-legal.com/