2016年のタイヤ新レギュレーションに、ウイリアムズのチーフテクニカルオフィサー、パット・シモンズが不満を示した。チームは完全なる選択の自由を求めたが、ピレリが自由度を限定したため、予測しづらいレースを演出しづらくなったという。
ピレリは今年新たにウルトラソフトコンパウンドを導入、5種類のタイヤから各グランプリごとに3種類を選択することになった(昨年は4種類から2種類を選択)。
FIAの2016年スポーティングレギュレーション(2015年12月8日発表版)の概要は次のとおり。
ピレリは各グランプリに3種類のドライコンパウンドを持ち込む。各ドライバーが使えるのは13セット。事前にFIAからチームに対し、3種類の仕様と共に、ドライレースでの義務タイヤの仕様(2種類以下)と予選Q3での義務タイヤの仕様(3種類中最もソフトなコンパウンド)が通知される。これを踏まえて、チームはドライバーごとにタイヤ選択を行う。
各ドライバーは最低2セットはレース用義務タイヤ仕様から選ばなければならず(ピレリが2種類の仕様を選択していた場合は、各仕様1セットずつ)、最低1セットはQ3義務タイヤ仕様を選ばなければならない。残りのセット(つまり10セット)は各ドライバーが自由に選ぶことができる。
昨年同様、予選Q3に進出したドライバーはQ2で自己ベストタイムを記録したタイヤで決勝をスタート。決勝ではインターミディエイトあるいはウエットタイヤの出番がない限り、ドライウェザータイヤの「少なくとも2種類の仕様」を使わなければならない。そのうち「少なくともひとつ」はピレリが指定した義務タイヤ仕様から選ぶ必要がある。
ピレリのモータースポーツディレクター、ポール・ヘンベリーは、予測しづらいレースにするための新規則を検討している段階で、チーム側に完全に選択の自由を与えるとリスクを冒す可能性があるという懸念を示していた。シモンズはピレリのそういった考えを不満に思っている。
「タイヤ規則の変更に興奮しているとは言えない」とシモンズ。
「もう少し混乱を招くような要素が欲しい。最初チームの間でタイヤ新規則の提案を取りまとめた時には、レースで予想外のことが起きる見込みが高かったと思う。アプローチの仕方が山ほどあったからだ」
「だがピレリはチームが完全に自由に選択するという方向性を嫌った。おかしな話だ」
「我々は責任ある大人だ。毎レース、しっかりポイントを取っていきたいと考えている。開幕戦からエンジンに思い切り負荷をかけて壊してしまうことだってできるが、そんなことはしない。強さのないマシンをデザインすることもできるが、そんなことをするわけがない」
「チームは自分たちの仕事をうまくやっている。(チームに任せると危険なタイヤ選択をするかもしれないという)指摘をするなんて少し陰険だと思う」
チームは新しい規則をすぐにマスターし、レースの意外性などなくなってしまうと、シモンズは予想している。
「F1チームは皆、非常にクレバーだ。正しい対処法があるなら、それをすぐに見つけ出せる。そうなるとすべてが台無しだ」
「(規則変更に)反対しているわけではない。変更を望んでいる。だがもっとうまくやる方法があったと思う」