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初売りを3日からにした三越伊勢丹、今度は営業時間の短縮を発表! 労働環境改善でサービス向上狙う

2016年01月07日 20:00  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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東京・新宿、銀座や埼玉・浦和などの一部店舗で2016年の初売りを1月3日からとした三越伊勢丹ホールディングスが、今度は一部店舗の営業時間を短縮すると発表した。

対象店舗は首都圏の三越日本橋本店、伊勢丹立川店、伊勢丹浦和店の3店舗。開店を30分遅らせたり閉店を30分早めたりして、全館の営業時間を30分短縮し、10時30分から19時30分までに。基本営業時間が9時間となる。

ネットも「良いサービスは良い待遇から」と称賛

同社は導入の背景として、百貨店の営業時間・営業日の拡大で従業員の働く環境が厳しくなり、販売サービスの質が低下を招いたと説明する。「全販売員の労働環境を改善することが、お客さまへの接客・サービスの向上につながる」と考えたようだ。

このため、営業時間短縮日や店舗休業日の新設や初売りの後ろ倒しなどの施策を実施。営業時間に販売員が厚く配置されることで「質の高く手厚い販売サービス」を提供できるように改善されたとのことだ。今回の取組も労働環境改善の一環といえるが、これにはネットからは賛同の声が相次いでいる。

「英断。社員ベースで考えるのが大切」
「いつも笑顔でいなきゃいけない立ち仕事は大変。繁忙期は休憩もろくに取れない。負担が減って良いと思う。良いサービスは良い待遇から」
「闇雲に開店日・時間を増やすよりも、適切な休養が社員のモチベーションも向上させる。三越伊勢丹の決断を歓迎します」

消費者サービスの向上を目指した営業時間の延長だが、背景には少子化による人手不足もありそうだ。しかし労働者の負担に配慮するヨーロッパと比較すると、改善の余地はまだ残っている。

例えばイギリスの老舗百貨店ハロッズは、月曜から土曜は10時から21時まで営業しているが、日曜は11時30分開店で18時に閉店する。これはイギリスの法律で、日曜の営業時間の短縮が決められているためだ。

フランスとドイツのデパートでは日曜が休業日

さらに法律で労働時間を規制しているのは、フランスとドイツだ。国際観光客数でフランスは1位、ドイツは7位の両国だが、日曜の営業は原則として禁止されている。

その事情は有名デパートであっても同じで、有名なパリの百貨店プランタンの営業時間は月曜から土曜は9時35分から20時(木曜のみ20時45分)、ギャラリー・ラファイエットも月曜から土曜の9時30分から20時(木曜のみ21時)となっている。

フランスの百貨店は、祝日も基本的に休みだ。ドイツのデパートのカーデーヴェーも日曜・祝日は休業している。労働政策研究・研修機構(2014)や、帝国書院の「高等学校 地理・地図資料」(2008年2月号)を参照すると、両国ともに日曜営業の規制緩和の動きが出ているというが、現時点ではこの体制が続けられている。

月曜から土曜の営業時間を見てみると、三越伊勢丹はヨーロッパ各国のデパートより短い。初売りを遅らせたことや営業時間の短縮で、ヨーロッパ型に近づいたとも言えそうだ。

日経ビジネスによると、今年の初売りの売り上げは伊勢丹新宿本店で前年比9%増、三越銀座本店が前年並みをキープしたという。仕事と休暇のメリハリがプラスに作用したとすれば、フランスやドイツのように週に1度の休業日を取り入れても営業が成り立つ可能性もあるのではないか。

あわせてよみたい:三越伊勢丹の「初売り3日から」にテナントが「英断」と称賛