レッドブルのテクニカルチーフ、エイドリアン・ニューエイが、2017年に向けて検討されているF1レギュレーション変更案ではF1は変わらないと主張した。
F1のショー的要素の向上についてF1ストラテジーグループが協議した結果、昨年5月、FIAは2017年F1に「より速いマシン」の導入を目指し「空力規則の進化、よりワイドなタイヤ、マシン重量の削減により、ラップタイムを5秒から6秒縮める」ことで合意したと発表した。
その後、FIAはチームに対しF1の速度を向上させるための提案を募集、11月末には、ウイリアムズのチーフテクニカルオフィサー、パット・シモンズが、話し合いのなかでボディワークと寸法を規定するF1テクニカルレギュレーション第3条の変更に関して大筋で合意がなされ、タイヤのワイド化と共にディフューザーとフロントウイングを大きくする見込みであると発言している。
The Nationalのインタビューにおいて2017年F1の規則変更について聞かれたニューエイは次のように答えた。
「規則変更は歓迎だ。新しい可能性が開けるからね。だが規則による制限がどんどん厳しくなってきている。1970年代や1980年代には、比較的規則が緩かったので、様々な形状のマシンが走っていた」
「でも今はすべてのチームのマシンを真っ白に塗れば、マシンに非常に詳しい人間でなければどのマシンがどのチームのものか分からない」
「規則が変更されれば、何か違うことができるチャンスが出てくる。だが2017年に向けて検討されているレギュレーション変更に関して言えば、今と大して変わりがない。少しワイドなタイヤ、少し修正した空力レギュレーション。基本的なものは全く変わっていない」
ニューエイは、今のF1はエンジンが支配しており非常に不健全な状態だと言う。マニュファクチャラーはカスタマーチームに対して同等のパワーユニットを提供しないため、優れたパワーユニットを持つワークスチーム、メルセデスとフェラーリしか勝てない状況であると、ニューエイは嘆いている。
戦いをもっと活発にするにはどういう手段を取るべきだと思うかと聞かれたニューエイは、カスタマーチームにワークスチームと同等のパワーユニットを提供すべきだと答えた。
「サプライヤーは物理的に同じエンジンをカスタマーチームに提供すべきだ。物理的なハードウェアだけでなく、燃料もソフトウェアもだ。まずは規則を変更し、カスタマーチームが望むなら、ワークスチームと同じソフトウェア、同じ燃料が得られるようにすればいい」
「FIAが代替エンジンを提案した。FIAエンジンとして小規模チームが使用できる、競争力のある、別のエンジンを導入するという提案だが、これは非常にいい解決策だと思う。ただマニュファクチャラーはそれを望まない。そのために論争が起こる」
昨年FIA会長ジャン・トッドは、パワーユニットの供給価格の高さを懸念し、これを制限するという提案を行ったが、フェラーリにブロックされた。その後、財政難のチームを救済するため、別仕様の安価なエンジンとの混走案を提示したものの、これも否決された。その代わりにマニュファクチャラーはコストや供給の保証などの問題を解決するための対策を講じることに同意、1月15日までにこれを提示することになっている。
一方で昨年末の世界モータースポーツ評議会会合で、F1商業面のボス、バーニー・エクレストンとトッドに「F1の多数の緊急的問題、たとえば統治、パワーユニット、コスト削減といった問題に関する勧告と決断を行うための権限」が与えられることが決まった。トッドとエクレストンは1月31日までに結論を固める意向を示しており、エクレストンはよりパワーがあり今より安価な新しいエンジンを導入すると述べている。