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スタバ福袋の「買い占め」が物議ーー店側に「防止策」を講じる義務はないのか?

2016年01月06日 11:31  弁護士ドットコム

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毎年、元日に発売され、人気を集めるスターバックスの福袋。その「買い占め」がツイッター上で報告され、物議を醸している。


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ある東京都内の店舗では、先頭の客が、販売分をすべて買い占めてしまい、2番目以降に並んでいた客が誰も買えなかったという事態が起きたという。ネットオークションに福袋が大量に出品されていることから、転売を目的にした大量購入とみられている。



ネット上では、福袋の買い占め自体を批判する声が多いが、店の対応を問題視する指摘もある。買い占めは事前に予想できたのだから、スタバが購入制限を設けるなど、何らかの対策を講じるべきだったのではないかというのだ。



人気を集める「限定商品」を店頭で販売する場合、購入のために足を運んだ客ができる限り商品を購入できるようにする義務が、店側にはあるのではないか。せっかく何時間も行列待ちをしたのに購入できなかった場合、並んだ客は、店に対して補償を求めることができないか。冨本和男弁護士に聞いた。



●客が法的な手段をとることは難しい


「結論から述べますと、店舗側には、並んだ客ができる限り商品を購入できるよう対処しなければいけないといった法律上の義務はありません」



冨本弁護士はこのように述べる。



「誰に何をいくつ売るかは基本的に店舗側の自由です。先頭の客に店舗内の全ての福袋を売ることも、店舗側の自由です。



店舗側のほうで『1人何個まで』といった購入制限を設けてもいいですし、設けなくてもいいわけです。



したがって、店舗側に何ら義務違反はなく、並んだ客は、店舗側に補償や賠償などの措置を求めることができません」



では、転売目的の買い占め行為が横行しても、純粋に「商品が欲しい」という客は、何もできないのだろうか。



「残念ですが、福袋の販売方法に納得がいかない場合にとれる対応としては、今後その店舗では購入しないといった程度です。



スターバックスの福袋も、客寄せのために目玉商品を詰めたものだと思います。



店舗側が毎年同じような販売を続ければ、不評を買って、逆に客離れが起きるだけです。店舗側も今回のような事態が起きて、考えるところもあるのではと思います。



店舗側が今後対策をとってくれることに期待しましょう」



●「転売ヤー」は法律違反の可能性


では、大量に買い占めて転売する行為、いわゆる「転売ヤー」は、法的に問題はないのだろうか。



「古物営業法に違反する可能性があります。



今回のケースでいうと、スタバの福袋は、新品ではありますが、『使用されない物品で使用のために取引されたもの』として古物営業法上、『古物』に該当します(古物営業法2条1項)。



そして、転売目的で福袋を大量に購入し、ネットオークションなどで転売することは、古物の『営業』にあたると考えられるので、適法に行うためには、都道府県公安委員会の許可を得る必要があります。



こうした許可が求められているのは、盗品の売買を防いだり、盗品を速やかに発見して、窃盗などの犯罪を防止するためと考えられています。



実際に摘発される可能性は低いとは思いますが、転売目的で福袋を買い占めて転売をした人が、古物営業法上の許可をえていなかった場合、同法違反で、罰金や懲役といった刑事罰を受ける可能性があります」



冨本弁護士はこのように述べていた。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp