2016年01月02日 10:02 弁護士ドットコム
会社の売上目標を達成したので、社員全員に一律1万円の「大入り袋」を渡したいが、税務処理が分からないーー。そんなうらやましい相談が、税理士ドットコムの税務相談コーナーに寄せられた。
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相談者は、社員8人全員にご褒美を支給したいようだが、労働の対価としてではなく、あくまでも売上目標達成による支給にしたいと強調している。とはいえ、賞与とも違う扱いにしたいらしく、社会保険料の対象にしないで、源泉徴収のみを控除する予定だそうだ。
会社によっては、たまに見かける「大入り袋」。税務処理は、どうするのが適切なのだろうか。内山瑛税理士に聞いた。
「事業主が恩恵的に支給する『結婚祝金』や、臨時的に支給する『大入り袋』は、その支給態様によっては、社会保険料の徴収対象とならないことがあります。今回のケースが、社会保険料の徴収対象となるかどうかという点については、簡単に判断できません。
ただ、会社として支給するのであれば、税務上は、給与・賞与の額に算入せず、源泉所得税の対象としないという処理は難しいでしょう」
では、どう処理すればよいのだろうか。
「賞与として支給したことにして、年末調整で、最終調整を行うのが一般的でしょう。明細は翌月給与と同時に渡します。1万円程度だと幸い、源泉所得税はゼロになります。
他に、翌月給与の前払と位置づけることもできますが、そうすると翌月の給与の総額が増えることになりますので、源泉徴収額も増加してしまいます。ややこしくなってしまいますから、賞与としての支給の処理をお勧めします」
従業員8人の小規模な企業ならば、1万円をお祝いで配るくらい、非課税にならないものか。
「そうですね。会社の代表者や重役・管理職から有志でカンパを集め、従業員に大入り袋として配布する場合は、所得税うんぬんの問題は発生しません。会社のお金ではありませんから。この場合も、厳密に言えば贈与税の課税対象ですが、通常は基礎控除額を超えないため、問題になることはありません。経理処理も当然必要ありません。
同族経営の企業などですと、社長のポケットマネーから寸志として優秀者表彰などを行うこともあるようですね」
内山税理士はこのように話していた。
【取材協力税理士】
内山 瑛 (うちやま・あきら)税理士
私たちは「お客様の成長のよきパートナーとなる」ことをモットーに、記帳代行・税務申告にとどまらず、お客様の総合的なサポートをさせていただいております。 「親身に」「誠実に」「迅速に」対応することが会計事務所の責務であるとの信念のもと、お客様の利益のため、精一杯貢献させていただきます。
事務所名 :内山瑛公認会計士・税理士・行政書士事務所
事務所URL:http://www.uchi-zeirishi.com
(税理士ドットコムトピックス)