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不倫の恋に破れ「慰謝料300万円」を請求された私

2015年12月31日 07:51  弁護士ドットコム

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不倫にどっぷりハマっている時、相手の配偶者から慰謝料を請求される日を想像する人はあまりいないのでしょう。でも、不倫は立派な不法行為。弁護士ドットコムの法律相談には「相手の配偶者から請求がきた!」と慌てる人からの相談が数多く寄せられています。


たとえば、「妻とはうまくいっていない」上司と不倫をしていた20代の女性。浮気が妻にバレると、上司はあっさり「別れよう」と言ってきそうです。そして「相手の奥さんから慰謝料三百万円を請求されました。応じるつもりですが、金額が高すぎませんか? 私にはそんなお金はないのですが・・・」と相談を寄せました。


柳原 桑子弁護士に詳細な解説をしていただきました。


A.  慰謝料の金額に基準はない。高すぎると思ったら減額交渉も可能。


ご相談者は「三百万円の慰謝料は高すぎる」と感じているようです。具体的な事情が不明ですので、「三百万円が高いかどうか」の言及は避けます。ここではまず、慰謝料とはどういうものか、その額はどのように決まるのかについてお話ししましょう。


慰謝料は、精神的苦痛を金銭に評価したもので、その苦痛の程度は、社会通念を基準にします。簡単に言うと、精神的苦痛をやわらげるためのお金です。慰謝料の額は、最終的には、訴訟において、主張立証された諸事情を踏まえ、裁判所が決めます。


額を決めるにあたっては、「不倫だと一律いくら」というようなルールはありません。訴訟では、不倫の期間や、不倫の結果離婚に至ったか否かといった諸事情が考慮され、事案ごとに額は異なります。


訴訟をせずに、当事者間の話し合いで慰謝料額を決めることも可能です。ご相談者のように、単に請求をされただけで、訴訟までいっていない段階において、「請求金額が高すぎる」と思ったなら、請求した側に減額を提案して、話し合いを試みることになります。


ところで、高額の慰謝料を請求された場合、「一括で支払えないので、分割で払いたい」と希望することはできるのでしょうか?


当事者間の話し合いで承諾されれば、分割払いも可能です。ただ実際には、慰謝料を請求する側から一括払いを求められることが多いでしょう。


なぜなら、数回程度の分割払いならまだしも、例えば三百万円を一万円ずつ支払うというような場合は、支払い期間が長期にわたります。請求した側にしてみれば、将来的に滞りが生じる懸念をいだくことでしょう。


また、慰謝料の原因となる嫌な出来事を、支払いがされるたびに思い出すのが嫌、という事情もありえます。 


分割払いについて合意してもらうためには、公正証書による合意をするなど、将来的に支払いが滞る恐れを払拭できるような措置を受け入れる姿勢が必要です。


不倫を理由に慰謝料請求をされた場合は、具体的な状況や請求金額にもよりますが、まずは真摯に受け止めて、相手の請求の趣旨をよく理解するべきです。対応に迷ったならば、弁護士に相談するなどして、事態を冷静かつ客観的に受け止めるようにしましょう。


真摯に対応していれば話し合いで解決できたものが、無責任に放置したために、相手の感情を煽って訴訟が提起され、大事になってしまう可能性もありえます。




【取材協力弁護士】
柳原 桑子(やなぎはら・くわこ)弁護士
1998年弁護士登録 第二東京弁護士会所属
離婚事件・遺産相続事件などの家事事件、破産事件、不動産関係事件等を中心に、民事事件を扱っている。「離婚手続きがよくわかる本」、「よくわかる離婚相談」、「相続・贈与・遺言」監修(いずれも池田書店)。

事務所名:柳原法律事務所
事務所URL:http://www.yanagihara-law.com/