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来年は国民的シンガーへ? 早くも紅白出場を果たす大原櫻子の2015年を振り返る

2015年12月30日 17:21  リアルサウンド

リアルサウンド

大原櫻子

 1年を締めくくる恒例の音楽番組、紅白歌合戦が間近に迫ってきた。紅組・白組あわせて10組のアーティストが初出場を果たす中、とりわけ注目したいのが大原櫻子。現在19歳、ソロデビューからわずか1年での大抜擢に、本人は「2015年の締め括り、しっかりと音楽に感謝をのせて歌わせていただきます」とコメント。歌唱曲は今年リリースした2ndシングル『瞳』に決定し、紅組のトップバッターへも大抜擢される中、どんなステージを見せてくれるのか期待が高まっている。


 大原櫻子は、2013年、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』で、演技経験ほぼゼロの中、約5000人のオーディションで主役を射止めスクリーンデビュー。劇中に登場するバンド「MUSH&Co.」のボーカルとして類まれな歌唱力を披露し、大きな話題呼んだ。その後、映画の音楽プロデュースを務めた亀田誠治との縁から本格的に歌手活動を開始。2015年1月にリリースした『瞳』は、第93回全国高等学校サッカー選手権大会の応援歌となり、初の作詞チャレンジや、高校サッカー決勝戦での歌唱中継の評判などで飛躍への足がかりを作ることとなる。3月には1stアルバム『HAPPY』を発売し、オリコン週間アルバムランキングで初登場2位を記録。これは10代のアーティストの1stアルバムとしては久しぶりの快挙であったことから、業界内外での注目も高まり、結果としてCMやドラマ出演などさまざまな露出にも繋がっていくことに。(その後、10万枚を突破しゴールドディスクを獲得)この後、2度の全国ツアーも行い、そのどちらでも全会場でチケットを発売即日ソールドアウトさせている。


 現在発売中の4thシングル『キミを忘れないよ』は、公開中の『映画ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』の挿入歌。自身初のラブバラードは、これまでの活発なイメージとは一線を画する切なさをにじませた歌声が印象的で、“アーティスト・大原櫻子”の新たな可能性を感じさせるものに。このほか、映画のオープニングではウルフルズと一緒におなじみの『おどるポンポコリン』を歌うなど、他アーティストとのコラボやカバーにも前向きな姿勢が見て取れる。


 さまざまなトピックが続き、躍進の年となった大原櫻子の2015年。その勝因はほかでもない、同世代のファンからの熱い支持だ。そこには女子中高生に人気のコミックの実写化でデビューし、これまで若者層をターゲットとしたさまざまなタイアップで知名度をあげてきた背景はもちろんあるが、何より等身大の女の子としての親しみやすさが大きい。


 敏腕プロデューサーをうならせるほどの天性の歌唱力を持ちながら、数年前まで普通の女子高生だったこともあるのか、彼女の佇まいはいまだどこか初々しくナチュラル。長い下積みを経て、デビューしていくシンガーソングライターの多い中、彼女の経歴はシンデレラストーリーであるわけだが、それでも気負わず背伸びせず、真摯に音楽と向き合う姿勢は、夢に向かってがんばっている一般の女の子たちと何ら変わらなくも思えてくる。ファンにとっても、その距離の近さは魅力的に映っているはず。いつも隣にいてくれる親友のような存在感こそ、大原櫻子の最大の魅力ではないだろうか。


 いよいよ迎える紅白の大舞台では、これまでのファン層とは異なる幅広い世代が彼女を目撃することとなる。そのまっすぐな歌声に魅了される人も多いことだろう。10代女子たちのアイコンから国民的シンガーへと脱皮なるか。2016年もその動向から目が離せない。(文=板橋不死子)