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【2015ベストコレクション⑥】ミキオサカベのファッションの本質を問う取り組み

2015年12月29日 15:02  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

2016年春夏コレクション Image by: Fashionsnap.com
日本を拠点に活動するブランドを対象に、2015年に発表された新作から、特に優れていたコレクションをセレクト。デザイナーの思いや服作りにフォーカスする企画【2015ベストコレクション】第6弾は、坂部三樹郎が手がける「ミキオサカベ(MIKIO SAKABE)」。

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 2016年春夏コレクションのショーは、これまでになくファッションの刹那的な特性が目立った。定番の厚底スニーカーやオーバーサイズのシャツなど得意のデザインに加え、シャツとバッグからは塗りたての蝋が溶け流れている。会場内にはストリッパーとキョンシーの舞台が設けられ、また最前列には頭にムースを載せた男女が座って演技するなど、全く関係のないパフォーマンスが同時多発的に行われた。一見すると"カオス"だが、常にどこかで何かが起こっている瞬間的な演出や、刻一刻とデザインが変わる動的なファッションの提案は、坂部氏の「ファッションは鮮度」という考えに通じている。
 ファッションの本質を問う坂部氏は、これまでも時代や状況によって変わる「鮮度」に着目してきた。アントワープで学び日本で活動するなかで「一貫性から文脈で語る欧州」よりも「常に流動的に変化すると捉える仏教の教えが息づくアジア」の方がファッションとの親和性が高いと論じている。坂部氏が言うように「諸行無常がファッションの本質に近い」のならば、これまでパリをはじめ欧州が中心だったファッション界の構造も変わるかもしれない。その意味を考えさせられるコレクションだった。
■2016年春夏コレクション
【年末企画】2015ベストコレクション ①料理のように焼いたり蒸したり「イッセイ ミヤケ」が探求するレシピ ②テアトラが提案する「目的があるデザイン」 ③スポーツ×ファッションを象徴する「ナイキラボ×サカイ」の功績 ④アンダーカバーが25年目に見せた真骨頂