相次ぐ卒業と加入による「新陳代謝」の1年　2015年下半期ハロプロ重大ニュースを振り返る

　早いもので、2015年もあと数日で終わりを迎える。このタイミングで、ハロプロの7月～12月の下半期における重大トピックスを選考し、2015年後半の半年間に何があったのかを振り返ってみようと思う。上半期については、以前執筆した記事【「うたちゃん」に始まり「うたちゃん」に終わる――2015年上半期ハロプロ重大ニュースを振り返る】をお読みください。

　まずは重要と思われるトピックスを時系列順に10個挙げていく。なお、関連する項目はひとつにまとめた。また、厳密にはハロプロではないアップフロント系グループなども、ハロプロ関連と捉えて選考の対象に含める。

・【01】09.02［こぶしファクトリー］シングル『ドスコイ! ケンキョにダイタン / ラーメン大好き小泉さんの唄 / 念には念 (念入りVer.)』でメジャーデビュー

　今年初頭の1月2日に結成されたこぶしファクトリーが、3月のインディーズシングル「念には念」リリース＆主演ミュージカル『Week End Survivor』上演を経て、9月にメジャーデビューを実現させた。トリプルA面の3曲いずれも、妙にヘビーでかつファニーだがそれがたまらなくポップという良曲に仕上がっている。Berryz工房の魂を継承するというグループ名にぴったりな楽曲群である。

　メジャーデビュー1カ月前の8月には、日本最大級のアイドル野外フェス『TOKYO IDOL FESTIVAL』2日目のオープニングアクトとして出演し、ハロプロ外のアイドルファンに広くアピール。11月には初単独ライブツアーを大阪UMEDA CLUB QUATTROより開始、同月には『第57回日本レコード大賞』新人賞4組の中にノミネートしていることが発表された。実に順調なデビュー1年目といえる。

　レコ大新人賞は、過去にはモーニング娘。、℃-ute、スマイレージが最優秀新人賞を受賞しているが（2013年のJuice=Juiceは、ノミネートはされたものの最優秀は逃す）、はたして今回のこぶしはどうなるのか？　12月30日の発表に注目が集まる。

・【02】09.06［つばきファクトリー］シングル『青春まんまんなか!』でインディーズデビュー

　そのこぶしファクトリーと同じく、今年結成されたハロプロ新グループがつばきファクトリー。4月29日のグループ結成から4カ月後の9月にインディーズシングル『青春まんまんなか!』をリリース。翌10月には主演ミュージカル『サンクユーベリーベリー』が上演されたが、これはBerryz工房が2009年に行った演目の再演ということでも話題を呼んだ。

　そのグループ名や、同じハロプロ研修生内からのデビューという出自も相まってどうしてもこぶしファクトリーと比較されがちだが、まだつばきはメジャーデビューには至っていない。12月31日にはインディーズ2ndシングル『気高く咲き誇れ!』の会場限定リリースが予定されているが、こちらは『青春まんまんなか!』のテクノ路線を受け継ぎつつ、曲中では「ここからだ　行くぜ、つばきファクトリー！」という勇ましいラップが聞けるなど、なかなかの良曲である。2016年のつばきファクトリーの躍進に期待したい。

・【03】09.10［つんく♂］著書『だから、生きる。』出版

　4月4日の近畿大学入学式にて声帯摘出を公表したつんく♂。9月には自身の執筆による手記『だから、生きる。』を上梓し、同書内にてハロプロの総合プロデューサーを退いていたことが明らかとなった。現在は一作家としてハロプロへ楽曲提供する立場を取っている。

　この『だから、生きる。』は、がんを患った一人の患者の闘病記であると同時に、ミュージシャン＆音楽プロデューサーとしての半生を綴った自伝にもなっており、ハロプロに関心のある者なら必読の内容となっている。

・【04】10.28［℃-ute］シングル『ありがとう ～無限のエール～ / 嵐を起こすんだ Exciting Fight!』が日本レスリング協会とタイアップ

　℃-uteの10月発売の両A面シングルは、「ありがとう ～無限のエール～」が日本レスリング協会公認・選手団讃歌、「嵐を起こすんだ Exciting Fight!」が同・応援ソングという大きなタイアップがついている。楽曲MVはレスリング選手たちのトレーニングシーンなどが組み込まれた映像になっている。また、10月31日に愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホールで行われた℃-uteのコンサートに、吉田沙保里をはじめとした4名のメダリスト選手がゲストで登場して、一緒に「ありがとう ～無限のエール～」を歌うという共演が実現した。

・【05】10.28［Juice=Juice］フジテレビドラマ『武道館』主演決定

　直木賞作家・朝井リョウの小説『武道館』が出版され、その現代アイドルの諸問題をテーマとした内容が話題となったのが今年4月。この作品が実写ドラマ化され、主役である架空のアイドルグループ「NEXT YOU」を、現役アイドルであるJuice=Juiceの5人が演じるというビッグニュースが届いたのが10月であった。

　今年のJuice=Juiceは、4月にシングル「Wonderful World / cava? cava?(サヴァサヴァ)』がオリコン週間チャート1位を獲得、7月リリースの初アルバム『First Squeeze!』はその内容により各所で高評価を得て、10月には台北および香港で初の海外単独公演を行い、12月には全国47都道府県すべてでライブ開催を達成と、充実した1年だった。ここにさらに主演ドラマ決定というニュースまで加わる。すでに公開されている予告動画を観る限りではなかなかセンセーショナルな展開になりそうであり、来年2月の放送開始後の反響が楽しみだ。

・【06】10.29［モーニング娘。'15］鞘師里保が卒業発表

　ハロプロ下半期、一番の衝撃ニュースはこの報だった。29日22:00頃に各ニュースサイトおよび本人ブログにて発表。モーニング娘。'15を年内12月31日いっぱいで卒業し、卒業後は海外への留学を予定。奇しくも発表の2日後の31日は、鞘師の地元・広島での凱旋ライブだった。

　モーニング娘。'15の一員としての最後の単独ワンマンライブは、ツアー最終日である12月8日の日本武道館だった。5年間の活動により培われた経験が十二分に発揮されたメモリアルなライブとなった。この日のメンバーMCで、佐藤優樹が「（鞘師さんが抜けてしまったら）どうすんですか？　今後のモーニング！」と激白していたが、エースメンバー鞘師の卒業がグループにとって大きな損失なのは想像に難くない。この逆境にどこまで立ち向かえるかが、来年のモーニング娘。'16の最大の課題だろう。

・【07】11.05［カントリー・ガールズ］梁川奈々美、船木結が加入

　ハロプロ2015年上半期最大の衝撃はカントリー・ガールズ島村嬉唄の脱退だったが、その穴を埋めるかのように、メンバー2名の増員が突如発表された。梁川奈々美（やながわ・ななみ）、船木結（ふなき・むすぶ）の2人はハロプロ研修生からの昇格という形となる。梁川は2002年1月生まれの13歳、船木は2002年5月生まれの13歳で、2002年2月生まれの小関舞を抜いてグループ最年少となった。のみならず、ハロプロ全体においても最年少メンバーということになる（正規メンバー中。ハロプロ研修生では2002年6～10月生まれのメンバーが4人いる）。

　カントリー・ガールズというグループの方向性が、カッコ良さではなく可愛らしさを強調する方面に向かっているのは楽曲の采配を見ても明らかだし、そこにさらに可愛らしい2人が増員されたのだから、これは実に明るいニュースといえる。

・【08】11.11［アンジュルム］上國料萌衣が加入

　アンジュルムから福田花音が卒業することが発表されたのは5月で、その翌月には4期メンバーオーディションの募集が開始された。そしてその4期オーデの合格者が、上國料萌衣（かみこくりょう・もえ）である。

　モーニング娘。の12期メンバーオーディションも受けていたが、あえなく落選。一時期はハロプロ自体が嫌いになっていたという彼女だが、そんな時に聴いたアンジュルム「大器晩成」で再びハロプロを好きになり、オーディションを経てアンジュルム新メンバーの座を勝ち得たという経緯がある。彼女の加入がアンジュルムというグループにどういった化学反応をもたらすか、これも来年の見どころである。

・【09】11.29［アンジュルム］福田花音が卒業

　福田花音のアンジュルム在籍時最後のライブとなったのが、11月29日の日本武道館。アンジュルムが武道館でワンマンライブを行うのはこれが3度目だったが、過去2回をさらに上回る、趣向盛りだくさんの楽しさと感動にあふれた内容となった。福田本人の考案だという、メンバーと福田のデュエットがそれぞれ8人分続くメドレーコーナーは選曲含めて秀逸だったし、卒業後は作詞家を目指すという福田の作詞第1作であり、かつ自身の卒業ナンバーという位置づけのソロ曲「わたし」も歌われた。

　卒業後、福田はTwitterでのつぶやきを開始し、その自由奔放なツイート内容がすでに話題となっている。

・【10】12.20［アンジュルム］田村芽実が卒業発表

　重大ニュースが続いたハロプロだが、まだ大きな爆弾があったのか！と思わされたのが、今月20日のアンジュルム田村芽実の卒業発表だった。宝塚のファンであることが以前から有名だった田村らしく、来年春のアンジュルムおよびハロプロからの卒業後は、ミュージカル女優を目指す道へ進むという。

　『我らジャンヌ』『リリウム』等のハロプロ演劇における田村の熱演を知っている者ならば、やむなしと納得せざるを得ないが、やはり心配なのは福田や田村といった実力派メンバーが抜けた後のアンジュルムである。モーニング娘。'16と同様、どこまで頑張れるかが来年の大きな焦点だろう。

　以上、2015年下半期のハロプロ重要トピックスを10個選出した。再度見出しのみを並べると以下のようになる。

【01】09.02［こぶしファクトリー］シングル『ドスコイ! ケンキョにダイタン / ラーメン大好き小泉さんの唄 / 念には念 (念入りVer.)』でメジャーデビュー
【02】09.06［つばきファクトリー］シングル『青春まんまんなか!』でインディーズデビュー
【03】09.10［つんく♂］著書『だから、生きる。』出版
【04】10.28［℃-ute］シングル『ありがとう ～無限のエール～ / 嵐を起こすんだ Exciting Fight!』が日本レスリング協会とタイアップ
【05】10.28［Juice=Juice］フジテレビドラマ『武道館』主演決定
【06】10.29［モーニング娘。'15］鞘師里保が卒業発表
【07】11.05［カントリー・ガールズ］梁川奈々美、船木結が加入
【08】11.11［アンジュルム］上國料萌衣が加入
【09】11.29［アンジュルム］福田花音が卒業
【10】12.20［アンジュルム］田村芽実が卒業発表

　上半期も含め、グループの停止／結成やメンバーの卒業／加入が非常に多かったのが2015年の特徴。前年2014年8月のBerryz工房の無期限活動停止発表あたりから始まったこの流れは、カントリー・ガールズ結成～道重さゆみ卒業～アンジュルム改名を経て、今年も絶えず止まらなかった。ハロプロには別れと出会いがつきものだが、それにしても去年～今年はそれがさらに多かったという印象がある。また、楽曲の作家陣がつんく♂ワンマンから複数制に変わったのも大きな変化だろう。

　今年2015年のハロプロを四字熟語で例えると「地殻変動」あるいは「新陳代謝」といった言葉が当てはまるのではないだろうか。そしてその新陳代謝の効果が徐々に現れてくるのが来年2016年以降だろう。まずは今月31日に中野サンプラザで行われる年越しライブ『Hello! Project COUNTDOWN PARTY 2015 ～GOOD BYE & HELLO!～』での鞘師里保のラストステージ、そしてカントリー・ガールズ梁川＆船木およびアンジュルム上國料の初ステージを要注目したい。

　それでは最後に、次点の項目をグループ別に列挙して本稿を終える。（ピロスエ）

・10.09［℃-ute］中島早貴、テレビ東京系ドラマ『SICKS ～みんながみんな、何かの病気～』にレギュラー出演（～12月25日まで）

・09.23［モーニング娘。'15］鈴木香音、自身のブログで「（体重が）大リバウンドです なにやってんだ…泣」と認める
・12.08［モーニング娘。'15］鞘師里保参加ラスト単独ライブ
・12.31［モーニング娘。'15］鞘師里保がグループ卒業予定

・07.20［アンジュルム］佐々木莉佳子1st写真集『RIKAKO』発売

・10.03［Juice=Juice］初の海外単独公演を台北で開催、翌4日には香港で開催
・10.29［Juice=Juice］植村あかり1st写真集『AKARI』発売
・12.13［Juice=Juice］沖縄・桜坂セントラルのライブをもって全国47都道府県ライブ制覇

・07.19［カントリー・ガールズ］初単独ツアー『カントリー・ガールズ ライブツアー2015』小樽GOLDSTONEから開始

・08.02［こぶしファクトリー］『TOKYO IDOL FESTIVAL』2日目オープニングアクトとして出演
・11.06［こぶしファクトリー］初単独ツアー『こぶしファクトリー ライブツアー2015 ～The First Ring!～』大阪UMEDA CLUB QUATTROから開始
・11.20［こぶしファクトリー］日本レコード大賞新人賞を受賞

・09.06［つばきファクトリー］シングル「青春まんまんなか!」でインディーズデビュー
・10.08［つばきファクトリー］『演劇女子部 ミュージカル「サンクユーベリーベリー」』上演（～18日まで）

・07.01［LoVendoЯ］シングル「いいんじゃない? / 普通の私 ガンバレ!」でメジャーデビュー
・11.27［LoVendoЯ］第48回日本有線大賞新人賞を受賞

・07.05［アップアップガールズ(仮)］日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ

・08.10［チャオ ベッラ チンクエッティ］秋山ゆりかが卒業

・12.23［Bitter & Sweet］初のミニアルバム『＃ビタスイ』発売