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【2015ベストコレクション⑤】世界に挑む「マメ」の進化と変化

2015年12月26日 21:22  Fashionsnap.com

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mame 2016年春夏コレクション展示会 Image by: Fashionsnap.com
日本を拠点に活動するブランドを対象に、2015年に発表された新作から、特に優れていたコレクションをセレクト。デザイナーの思いや服作りにフォーカスする企画【2015ベストコレクション】第五弾は、「現代社会における戦闘服」をブランドコンセプトに掲げる「マメ(mame)」の2016年春夏コレクションに注目する。


【ベストコレクション⑤】「マメ」の進化する戦闘服の画像を拡大

 デザイナー黒河内真衣子は、デビュー当時から「テーマを1シーズンのみで終わらせるのはもったいない」という考えで、年間を通してひとつのテーマを追求してきた。日常から描く空想の旅、自身のルーツへの旅、小説が起点となった旅というように、テーマは常に「旅」から着想している。16年春夏シーズンに掲げたテーマは錬金術師を意味する「Alchemist.」。幼い頃に見ていた悪夢を今再び見るようになったという黒河内は、夢の中と現実を旅をしながら奄美大島やニューメキシコといった各地で出会ったものづくりやインスピレーションを"錬金術=服を作る事"で表現する。
 デコルテやウエストを意識したフォルムで女性の心を掴んできた「マメ」だったが、今季は脱却を図った。胸元ではなく肩を強調したカッティングにより、新しい女性の美を提案。トップスやドレスに取り入れた紐は体型にとらわれず女性らしいウエストをマークし、ナイティドレスのようなゆったりとしたドレープは「マメ」を着る女性像の幅を広げた。生地の分量感が変わったことで、丁寧な刺繍や繊細な編地、クラフトワークも際立っている。
 海外ビジネスに取り組む日本人デザイナーが増えてきたが、黒河内もその中の1人だ。15年春夏シーズンにはパリで展示会をスタートさせ、16年春夏シーズンにはエージェントThe News Inc.と契約しNYで展示会を開くなど、海外展開にも積極的だ。黒河内が16年春夏コレクションを象徴するカラーに選んだ「百緑」はニューメキシコで出会った植物の色を表現したもので、その植物は太陽の下で大地でより強く生きる為に次なる進化として自らを白っぽく変化させるのだという。立ち上げから5年、「マメ」が生み出す「現代社会における戦闘服」もまた進化するために変化を続けているようだ。

■mame 2016年春夏コレクション
【年末企画】2015ベストコレクション ①料理のように焼いたり蒸したり「イッセイ ミヤケ」が探求するレシピ ②テアトラが提案する「目的があるデザイン」 ③スポーツ×ファッションを象徴する「ナイキラボ×サカイ」の功績 ④アンダーカバーが25年目に見せた真骨頂