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アイドル界で話題の『原宿駅前ステージ』は何がスゴい? 潜入レポート&支配人を直撃

2015年12月26日 17:21  リアルサウンド

リアルサウンド

ふわふわ。

 観月ありさ、w-inds.、Lead、三浦大知、西内まりや、フェアリーズなどが所属するライジングプロダクションは2015年8月、JR原宿駅竹下口の向かいに常設劇場『原宿駅前ステージ』をオープンさせた。


 同劇場は、ライジングプロダクションに所属する女性アーティストの卵・原宿駅前パーティーズが成長し、活躍する場として生まれたもの。グループは現在、ダンスやアクロバットが得意で、日本文化をダンスミュージックに乗せて発信する「ピンクダイヤモンド」、フリルの多い衣装を身にまとい、おもちゃ箱をひっくり返したようなチップチューンで歌い踊る王道アイドル「ふわふわ」、モデルを目指すメンバーが集まり、“大人らしさ”を強調する「原宿乙女」、事務所在籍期間の長いメンバーも多く、ダンスパフォーマンスのキレが目を引く「原駅前ステージA」の4組で構成されている。


 同グループの劇場公演を見たファンは、口を揃えて「ステージとの距離感が近い」というため、筆者はその事実を確かめるべく、11月21日の公演に足を運んだ。確かに、会場内はステージから客席周辺までずらりとランウェイが敷かれており、物理的な距離感は近い。


 公演が始まると、原宿駅前パーティーズは先輩アーティストの楽曲(この日はピンクダイヤモンドがDA PUMPの「if…」や「We can't stop the music」をカバー)を歌ったり、大人っぽいグループである原宿乙女はシュールなコントを披露。ランウェイの上で破壊力抜群の一言ネタを繰り出したかと思えば、ファンへメッセージを書き込んだ風船をプレゼントしたりと、様々なパフォーマンスで心の距離感が近いことも証明してみせた。


 そして、ファッションアイコンも数多く生み出してきた同プロダクションが、原宿の竹下口という場所にステージを構えた意味を強く感じさせたのは、メンバー全員による「ファッションショー」だ。『ニコラ』『なかよし』などでモデルを務めるメンバーが原宿スタイルのファッションで登場したり、原宿乙女がちょっと背伸びした大人セクシーなアウトフィットを身に纏って堂々とランウェイを歩く。ステージ隣、Leadカフェの奥にはメンバーが着用した衣装と同種のものを販売する「エリア原宿」があり、女性ファンのニーズに応えている。


 アーティスト・モデル・アイドルなど、様々なアウトプットを用意し、女性タレントを育成する同システムを、運営側はどんな思いで構築したのだろうか。劇場支配人である田代雅裕氏はこう語る。


「ドラマ『サムライせんせい』(テレビ朝日系列)に出演している岩崎春果や、最年長の19歳で女優を目指している赤坂星南など、プロダクションには若いスターの卵が沢山いましたが、メディアに登場させる機会は少なかったので、活躍の場を与えてあげたかったし、やるからにはコアなアイドルファンの方にも認めてもらえるステージや仕掛け、エンターテインメントを作りたかったんです。タイプの違う4グループを結成し、1回の公演に全グループを登場させて、それぞれが独自の色やファンサービスを近い距離感で実現し、口コミやSNSなどで広がってくれました」


 また、同氏はグループのメンバーが様々な目標を掲げて活動していることについてこう続けた。


「グループを結成した以上、もちろんアーティストとしてCDデビューさせることが当面の目標ですが、それ以外の活躍も望んでいますよ。目標はバラバラでもいいと思いますし、アウトプットが多ければ多いほど、色んな分野の人が交差して面白くなって、メンバーも鍛えられますから。劇場がオープンしてまだ4カ月ですが、公演を続けていくことで、顔つきがだんだん良くなって、ビジュアルも洗練されてきました。成長速度が速くて、社内での評価もどんどん変わるくらいで、所属する女の子すべてのスキルが底上げされていることを実感しています」


 一般的に大所帯のアイドルグループは、メンバーの卒業と加入を繰り返しながらその母体を保ち続けるものが多いが、この点について同氏はこう述べた。


「立ち上がったばかりなので卒業の話は現実的ではありませんが、新メンバーに関しては、継続して竹下通り周辺でスカウトを行っており、グループ発足以降に加入した者もいます。1グループが先にデビューすると、新グループも作りたいですしね。現在は1公演で全グループを見ることができるようになっていますが、人気が高まってきた際には分割することも視野にいれています。ただ、4グループをまとめて見ていただけるほうがバランスの良さを実感できるので、悩みどころではありますが……」


 原宿駅前ステージは、いまや毎日チケットが30倍を超える争奪戦状態。土台は整ったというべきだが、同劇場はさらなる発展に向け、現場でこのプロジェクトのプロデューサー平哲夫社長(株式会社ライジングプロ・ホールディングス)や田代氏がファンと交流を深め、改善点をヒアリングすることもあるという。


「Lead caféは、彼らのファンである女性客が多いものの、ステージを見たファンの方が休憩していくこともあります。そこへうちの社長や僕が行き、一緒に飲みながら感想や要望をうかがっています。実際に要望にそって椅子の高さを変えてみたり、席の抽選方法を電話予約からインターネット予約に変更して、席も当日会場で抽選を行うのですが、この方法もファンの方とやり取りしながら変更していきました」


 また、年末は12月27日に原駅ステージA(エース)初の単独公演(チケットはソールドアウト済)をLINE LIVEにて生放送するほか、劇場を飛び出して大勢の人の前に姿を現す予定だ。


「年末に舞浜アンフィシアターで行なう予定の『RISINGFES 2015~2016』には、MAXやDA PUMP、w-inds.、Lead、三浦大知やフェアリーズらに交じって、約2000人の前でステージに立ってもらいます。劇場の外に出るのは初めての経験ですし、本人たちにとってはかなり刺激になると思うので、どのようなパフォーマンスが披露されるか、楽しみにしていてください」


 まだ種が蒔かれたばかりの時期ではあるものの、固定のファンを着実に増やしている原宿駅前ステージと原宿駅前パーティーズ。彼女たちは、アイドルの新たな時代を作ることができるのか。引き続きその動向を見守りたい。(中村拓海)