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二宮和也『赤めだか』、東山紀之『信長燃ゆ』……年末年始のスペシャルドラマを一挙紹介!

2015年12月25日 22:31  リアルサウンド

リアルサウンド

 今年も残すところあとわずか。もはやテレビも、すっかり特番ばかりです。ということで、本稿では、この年末年始、気になるスペシャルドラマを一挙ご紹介することにしましょう。


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 まずは、12月28日(月)21時からオンエアされる、年末ドラマ特別企画『赤めだか 青春落語グラフィティ』(TBS)。落語家・立川談春が自らの修行時代の思い出を綴り、ベストセラーとなった同名エッセイをドラマ化した作品です。主人公「立川談春」役を演じるのは二宮和也。そして、その師匠である「立川談志」役を演じるのは、生前の談志と親交も厚かったビートたけしという豪華さです。さらに、談志=たけしを中心とした「立川一門」の面々には、香川照之(志の輔)、濱田岳(志らく)、宮川大輔、柄本時生、新井浩文らを起用。さらに、本作の「ナビゲーター」として笑福亭鶴瓶が、ゲスト出演者として、春風亭小朝、春風亭昇太、三遊亭円楽が名を連ねるなど、落語界のサポートもバッチリな一本となっているようです。本作の脚本を担当しているのは、『半沢直樹』、『下町ロケット』などで知られる八津弘幸。演出は、『天才たけしの元気が出るテレビ』でキャリアをスタートさせた演出家・映画監督、タカハタ秀太が担当。この組み合わせも、なかなか興味深いところです。ちなみに、「青春落語グラフィティ」という意味では、年明け1月16日(土)から、松山ケンイチ主演の青春落語映画『の・ようなもの のようなもの』が公開されるので、こちらと合わせて観るのも一興かもしれません。


 その他、もはや年内は、めぼしいスペシャルドラマが見当たらないのですが、12月31日(木)、大晦日の朝7時20分から11時54分まで、連続テレビ小説『あさが来た』(NHK総合)のダイジェスト版(第13週まで、各週の内容を20分ずつにまとめたもの)が一挙放送されるとのこと。ここへ来て、平均視聴率が25%を超えるなど、さらなる盛り上がりを見せている『あさが来た』を、この機会に一気観するのもいいかもしれません。ちなみに、年明け1月3日(日)の16時から、これをさらにまとめた約2時間の「総集編」の放送もあるようなので、お急ぎの方はこちらがおすすめです。


 続いて、年が明けた2016年の元旦1日1日(金)21時からは、『相棒 Season14 元旦スペシャル「英雄~罪深き者たち」』(テレビ朝日)がオンエアされます。反町隆史を「新相棒」に迎えてからは初となる、恒例の正月スペシャル版。事件の鍵を握る左翼活動家の男……というか、これまで名前だけは数回登場していた極左グループ「赤いカナリア」の元幹部「本田篤人」役を古谷一行が演じることが話題の一本です。さらに、野心的な女性政治家役で木村佳乃が、本多の娘役で内山理名が登場するなど、スペシャル版らしい豪華な出演者陣にも注目が集まります。ところで、同じく1月1日(金)23時15分からは、『孤独のグルメ お正月スペシャル~真冬の北海道・旭川出張編』(テレビ東京)がオンエア。松重豊演じるお馴染み「井之頭五郎」が、今回は北海道・旭川を訪れるようです。


 そして、1月2日(土)21時からは、テレビ東京恒例の新春時代劇『信長燃ゆ』(テレビ東京)が放送されます。1979年からスタートし、今年実に38回目を数える新春時代劇。その演目に選ばれたのは、みなさんご存知、織田信長。それを演じるのが、東山紀之であるという点が話題の作品です。直木賞作家・安部龍太郎の同名小説をもとに、「本能寺の変」に至るまでの約1年半に焦点を絞って描き出されるという本作。信長と対立する朝廷側の要人、関白「近衛前久」を寺尾聰が、武家と朝廷の対立に巻き込まれながら、やがて信長と深い関係になっていく親王夫人「勧修寺晴子」を栗山千秋が演じているのも注目の一本です。ちなみに個人的には、信長の側近「森蘭丸」役を中島裕翔(Hey! Say! JUMP)が演じている点に注目です。彼は、年明け9日(土)公開の映画『ピンクとグレー』(監督:行定勲)に主演、同じく年明け9日21時からオンエアされる、堤幸彦演出のスペシャルドラマ『刑事バレリーノ』(日本テレビ)でも主役を演じるなど、ここへ来てさらなるブレイクの可能性を予感させます。


 さて、個人的に最も楽しみにしているのは、1月2日(土)21時から放送される、新春スペシャルドラマ『富士ファミリー』(NHK総合)です。『野ブタ。をプロデュース』(2005年)などで知られる人気脚本家・木皿泉が久しぶりに書き下ろしたオリジナル作品であるこのドラマ。その舞台となるのは、富士山のふもとにある、小さな食料雑貨店です。そこには、近所でも評判の美人三姉妹がいて……長女・鷹子(薬師丸ひろ子)、次女・ナスミ(小泉今日子)、三女・月美(ミムラ)。物語はこの3人と、彼女たちを取り巻く人々を中心に展開していくようです。NHK曰く、「ちょっと変わった大家族の物語」なのだとか。片桐はいり、高橋克実、吉岡秀隆など、共演者たちも実力派ぞろい。ところで、薬師丸ひろ子と小泉今日子と言えば、連続テレビ小説『あまちゃん』が思い起こされますが、なるほど、本作の演出を担当しているのは、『あまちゃん』と同じく吉田照幸。木皿泉と吉田照幸は、果たしてどんな化学反応を起こすのでしょう。ちなみに、オンエア前日である1日(金)18時5分からは、『コトバのお年玉~薬師丸ひろ子×小泉響子×有働由美子の初夢トーク~』と題した特別番組もNHK総合で放送されるとのこと。こちらも合わせてチェックしておきましょう。


 そして、三が日の最後、1月3日(日)21時には、新春ドラマスペシャル『坊っちゃん』(フジテレビ)が登場します。夏目漱石の名作『坊っちゃん』をドラマ化した本作。これまで、『坊っちゃん』は何度も映像化されていますが、意外にも今世紀に入ってからは初なのだとか。ちなみに、2016年は夏目漱石没後100年にあたります。そんな記念すべきタイミングで、主人公「坊っちゃん」を演じるのは、年末の『赤めだか』に続き、スペシャルドラマの主演が続く二宮和也。現在上映中である山田洋次監督の映画『母と暮らせば』も含めて、「役者・二宮和也」のちょっとしたラッシュです。そんな二宮「坊っちゃん」のほか、彼の同僚「山嵐」役を古田新太が、「うらなり」役を山本耕史が、そして「赤シャツ」役を及川光博が務めるなど、これまでありそうでなかった共演が実現。「坊っちゃん」という愛称の名付け親である女中「清」を宮本信子が演じていることにも注目です。なお、2015年、小説『火花』で一世を風靡した又吉直樹が、「夏目漱石」役で出演していることも、最近になって発表されました。ちなみに、脚本を担当するのは、『僕の生きる道』(2003年)など「僕三部作」や『ゴーストライター』(2015年)で知られる脚本家・橋部敦子。演出は、木村拓哉主演のドラマ版『HERO』(2015)の演出はもちろん、昨年公開された映画版では、監督も務めた鈴木雅之が担当。実に手堅い布陣です。


 最後に触れておきたいのは、1月4日(月)21時から放送される、『女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘』(フジテレビ)。湊かなえ、三浦しおん、角田光代という3人の女性作家の短編小説を、永作博美、土屋太鳳、鈴木京香という3人の女優を主演に迎えてドラマ化した、オムニバス形式の作品です。ここで注目すべきは、「ムーンライト」(湊かなえ)、「炎」(三浦しおん)、「平凡」(角田光代)という3編を、3人の映画監督たちが演出している点でしょう。「神様のカルテ」シリーズの深川栄洋(「ムーンライト」)、『軽蔑』(2011年)、『さよなら歌舞伎町』(21015年)、『ストロボ・エッジ』(2015年)など幅広い作風で知られる廣木隆一(「炎」)、全278分という大作『ヘヴンズ ストーリー』(2010年)、映画版『64-ロクヨン-』の公開も控えている瀬々敬久(「平凡」)が、それぞれ担当。いずれも、「女性」の描き方については、こだわりのある監督であるだけに、その仕上がりが注目されます。


 さて、そのあたりの週からは、1月クールの連続ドラマも徐々に始まるので、そちらの見どころについては、また機会を改めてご紹介していきたいと思います。それではみなさま、良いお年を!(麦倉正樹)