クリスマスは、恋人同士で過ごす日――。バブル期までは当然とされたそんな風潮も、いまの若者たちにはあまり共有されていないのかもしれない。しかしテレビ番組の制作現場では、いまだにそんな価値観が続いているようだ。
12月25日朝の「めざましテレビ」(フジテレビ)は毎年恒例の「Xmas ロンリーウーマン2015」として、都内でクリスマスイブを一人で過ごす若い女性たちを追跡。「スターウォーズ」の最新作を上映中の映画館や女性専用のフィットネスクラブ、イルミネーションが輝く表参道やひとりカラオケ店にカメラを向けていた。
「ほんと失礼の塊だわ、ほっとけや」など視聴者から苦言の嵐
番組が都内女性232人に行ったアンケートによると、「クリスマスイブをどう過ごしますか?」という質問に「仕事・バイト」「友達と過ごす」と答えた人が計6割を占め、「彼氏と過ごす」は12%しかいなかったという。
それでも番組は「ひとりで過ごす」と答えた9%に焦点を当てて、「なぜイブに一人で過ごしているのか?」と迫る。新宿の映画館を訪れた番組スタッフは、ある女性にカメラを向け、こう囁きながらレポートする。
「あちらの女性はお一人のようですが、ロンリーウーマンなんでしょうか?」
フィットネスクラブでは彼氏募集中の女性に「彼氏欲しい!きれいになるぞ!」と言わせ、カラオケ店では「彼女たちはいったいなぜ、ひとりでカラオケを歌いに来たのでしょうか?」と疑問を投げかけ「来年こそは彼氏と過ごせますように!」という叫びを引き出していた。
VTRの後、三宅正治キャスターは「だいたい12月24日に彼氏と彼女と過ごさないといけないって、誰が決めたんだろうね?」とフォローするが、ここまでの流れを見てきた後では白々しく聞こえてしまう。ネットにはこんなつぶやきが漏れている。
「めざましテレビでロンリーウーマン特集やってるけど殴られたいのかな?」
「ほんと失礼の塊だわ、ほっとけや。なにがロンリーウーマンだ」
「なんやねん! クリぼっちといい、そんなん流行る言葉にせんとってほしい。涙」
「偉い人がバブルから先に魂が進んでない」とフジテレビ批判も
番組が進むにつれて「余計なお世話」「愚弄してんの」「企画ゴミだろ」といった批判の投稿が増え、午前7時半すぎには「ロンリーウーマン」がツイッターのトレンド入りを果たす事態に。さらにフジテレビへの苦言に発展する書き込みも数多く見られた。
「ドン引きだわ。なんて頭の悪そうな企画なんだろう。1ミリも面白くない上に不愉快。流石フジテレビだよ。視聴率凋落も当然だな」
「フジでロンリーウーマンがどうのこうのの特集やってたけどクリスマスに誰かと共に過ごさなければならないという悪しき習慣は燃やすしかない」
「偉い人がバブルから先に魂が進んでないんだなって思う」
「そんなゲスいことやってるから誰も見なくなるんやで」
番組は批判を先取りしてか、「一番孤独だったのは(取材する番組の)女性スタッフだった」というオチを設け、スタジオの爆笑を誘っていたが、これについて「何のフォローにもなっとらんし」「なんかひでえなって思った」と不満を表す人もいた。
その一方で、「最近彼氏と別れた」という女性が次々と顔出しで取材を受けている様子に、「めっちゃ力強く生きてる姿見てたら自分も頑張ろって思うな」と、番組に元気をもらったという人も少数見られた。
あわせてよみたい:「クリスマスだから残業NG」とか意味不明!