2015年12月25日 10:41 弁護士ドットコム
韓国のマーケティング企業が、インターンシップの応募資格に「Cカップ以上」という条件をあげたことがネットで話題になった。
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この企業は、リクルーティングサイトに掲載した採用広告で、「マーケティング・企業運営のインターン」を募集。応募資格として、「強い責任感」と「マーケティング・SNSに対するセンス」に加えて、「Cカップ以上」「知性と美貌を兼ね備えた人」を掲げたそうだ。
報道によると、同社の代表は「どんな人でも、性的な魅力がある人に惹かれるんじゃないですか? (業務遂行能力に加えて)そういう(外見的な)部分もあればさらにいいと思いました」と語ったという。
今回のケースは韓国での話だが、仮に日本で、「Cカップ以上」や「美貌」など、外見的な要素を応募資格にあげることは、法的に問題があるのだろうか。大部博之弁護士に聞いた。
「採用条件として『Cカップ以上』としていますが、『Cカップ』というのは、女性が胸部に着用する下着(ブラジャー)のサイズを示しているものです。したがって、この条件は通常、女性のみを対象としているといえるでしょう。
そうすると、この条件は、『労働者の募集・採用について、その性別にかかわりなく、均等な機会を与えなければならない』とする男女雇用機会均等法5条に抵触します。会社は、厚労省から指導・勧告などを受ける可能性があり、勧告に従わない場合は、社名を公表されることになります」
大部弁護士はこのように述べる。では、「知性と美貌を兼ね備えた人」という条件はどうだろうか。
「これは詰めて考えると、なかなか難しい問題です。一般通常人の感覚としては、『美貌の持ち主』などと言う場合、通常は女性を想起するように思います。その感覚に従えば、女性のみを採用の対象にしているかのような印象を受けます。
しかし、美貌という言葉は、一般的な辞書では『美しい顔かたち』を意味するものとされ、特段女性のみに限定された表現ではありません」
たしかに、「美男美女」などという表現もある。
「男女雇用機会均等法7条では、性別以外の事由であっても、実質的に性別を理由としていると言える採用条件については、業務上特に必要性が高いなどの合理的な理由がなければならないとされています。
ただし、その事由は、厚労省の定める規則で『身長・体重・体力』に限定されています。『美貌』という条件はこれに該当しません。
そうすると、結論としては、『知性と美貌を兼ね備えた人』という採用条件は、性別を理由とした差別的な採用条件ではないという考え方も十分に成り立つといえるでしょう」
大部弁護士はこのように指摘している。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大部 博之(おおべ・ひろゆき)弁護士
2006年弁護士登録。東京大学法学部卒。成城大学法学部講師。企業法務全般から事業再生、起業支援まで広く扱う。
事務所名:小笠原六川国際総合法律事務所
事務所URL:http://www.ogaso.com/