高齢化と人口減少に悩む地方自治体。12月22日放送の「ガイアの夜明け」は、各地でさまざまな移住誘致が展開される中、「人材獲得」に力を入れる動きを紹介した。
人口減少率が全国4位、高齢化率2位の高知県は、尾崎正直知事の肝いりで経験豊かな人材の移住・雇用を都会から促す特命チームが3年前から発足している。チーム発足後の移住者は、およそ3倍に増加。知事は都会から人材を呼び込む意義をこう力説した。
「地元が凄いと分かっていても、どうやって売り込んでいくかというノウハウが足りない。新たな担い手をいかに確保するかが、すごく大事なんですよ」
報酬は平均町民所得の2倍「ノウハウを町のために役立てて」
セブンイレブンジャパンで店舗開発を担当してきた高橋大弐さん(34歳)は、人口7300人の漁師町、中土佐町の「地産外商マネージャー」という特別職に就いた。子育ての環境を考えて、名古屋から家族4人で移住してきたのだ。
基幹産業の漁業が衰退の一途を辿り、かつては6億円以上あった売り上げが半分ほどに。町は生き残りを賭けて「道の駅」を新たに建設し、特産品を売り出す計画だ。この建設計画プロジェクトに、能力や経験をもつ人材を探していた。
月収は41万7000円。平均町民所得のおよそ2倍というから、期待の大きさがうかがえる。町長からはこんな激励の言葉が飛び出した。
「日本最大の流通企業で培ってこられたノウハウを、ぜひ中土佐町のために役立ててもらいたい」
高橋さんは、道の駅のプロジェクトリーダーに就任。建設予定地は交通量の多い国道から逸れた港のそばで苦戦が予想されたが、高橋さんは目玉さえあれば人を呼べると強気だ。都会にはない郷愁を誘う港町の風景や、100年以上続く商店街が観光スポットになると見る。
さらに漁協を訪れ、たくさん獲れるが高値はつかないレンコダイを加工品にすることを提案。試作品としてレンコダイ100%のさつまあげができあがると、プリプリの食感に地元の人たちも「すごく美味しい。これは1枚150円や200円でもいける」と絶賛していた。
田舎でのんびりではなく「大きく飛躍したい」人もいる
道の駅のオープン予定は2年後。高橋さんは「今まで経験したこととは違う新たなかたちで非常にやりがいがある。皆さんそれぞれが笑顔になる仕事をしていきたい」と語る。この地には永住するつもりだという。
都会から地方へ移住を希望する人は年々増え続けており、移住支援を行う東京のNPO法人へ相談に訪れた人は、2014年だけで1万人を超えた。年齢も30~40代の働き盛りの人が多く、就職先の有無が移住への課題となっている。
自治体は、新たに農業や漁業を始める人への支援を行うことが多いが、徳島県神山町では光ファイバー通信を整備し、空き家となっている古民家へIT関連の企業を誘致したことも注目を集めている。
高知の高橋さんの仕事は、はっきりと「助っ人」として成果を求められている。ただ田舎暮らしに憧れて移り住んできた人とは全く違うため、プレッシャーは相当あるだろうが、それを感じさせない意欲的な姿勢が頼もしい。
戦略会議の様子を見ると、世界を見据えた商戦も想定している様子だった。田舎でのんびりなどというより、前職よりもさらに大きく飛躍したい、何かを成し遂げたい人なのだろうと感じた。(ライター:okei)
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