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【2015ベストコレクション④】アンダーカバーが25年目に見せた真骨頂

2015年12月24日 20:22  Fashionsnap.com

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UNDERCOVER 2016年春夏コレクション Image by: Fashionsnap.com
日本を拠点に活動するブランドを対象に、2015年に発表された新作から特に優れていたコレクションをセレクト。デザイナーの思いや服作りにフォーカスする企画【2015ベストコレクション】第4弾は「アンダーカバー(UNDERCOVER)」に注目する。

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 今年最も話題を集めたファッションの展覧会のひとつが、オペラシティアートギャラリーで開催された回顧展「LABYRINTH OF UNDERCOVER」だ。デザイナーの高橋盾氏が自らの脳内を「先の見えない迷路」と表現している通り、その複雑なデザイン思考と枠にはまらない表現は、繊細でありながら無秩序で、美しくも退廃的。25年間にわたる作品の数々からは、時代に流されず極限まで挑み続けてきたのであろう高橋氏の気迫さえも感じられた。
 「アンダーカバー」2016年春夏コレクションは、大回顧展がスタートする直前の10月2日、パリのサーカス小屋で発表された。その客席には、パリのデビューショー以来だというコム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)川久保玲氏の姿もあった。特徴的な身頃と袖の分裂は、ファスナーでパーツ交換を可能にした1998年秋冬コレクション「EXCHANGE」にも似ているが、手法は更に複雑に進化して服とバッグまで一体化。もしくは分裂したパーツ同士で再構築され、曖昧な境界線が服の概念を取り払うが、実に機能的だ。前シーズンはミヒャエル ボレマンス(Michaël Borremans)の絵画だったが、今回は写真家ニックナイト(Nick Knight)による溶けた花のグラフィックを取り入れ、美しさの中に毒気が混じる。最も人気が高かったのは立体的な城型のバックパック。ピエロのようなモデルのメイクやローリング・ストーンズのロック要素が相まって道化とリアルが入り交じり、「アンダーカバー」の真骨頂と呼べるコレクションだった。
■UNDERCOVER 2016年春夏コレクション
【年末企画】2015ベストコレクション ①料理のように焼いたり蒸したり「イッセイ ミヤケ」が探求するレシピ ②テアトラが提案する「目的があるデザイン」 ③スポーツ×ファッションを象徴する「ナイキラボ×サカイ」の功績