カフェイン。コーヒーやお茶、チョコレートにも含まれていることで知られるこの物質には、興奮作用や精神を刺激する効果があるとされているため、眠気覚ましにも重宝されてきた。
最近では、このカフェインが多く含有された各種エナジードリンクも人気になっている。ところが、そんな身近なカフェインも、過剰摂取すると命の危機を招くようだ。(文:松本ミゾレ)
「カフェインだけが毒ではないが、使い方間違えると中毒になる」
テレビ、新聞などでも既に一通り報じられているが、12月21日、福岡大学はエナジードリンクを大量に飲んだ九州在住の20代男性が中毒死した事案について、カフェインの過剰摂取が原因だったと発表している。
解剖の結果、この男性のカフェイン血中濃度は致死量に達していたことが明らかとなった。
さらに男性はエナジードリンクだけではなく、日常的にカフェインの錠剤を摂取していたことも分かっている。
22日放送の「スッキリ!!」(日本テレビ系)では、福岡大の発表を踏まえての特集を組んでいた。この特集ではまず、カフェインの過剰摂取によって、不眠や目まい、不整脈などの健康リスクが発生することを指摘。かなり興味深い内容だった。
福岡大学の久保真一教授は前述の発表の際に以下のコメントを出している。
「エナジードリンクというものだけが毒ではないが、使い方を間違えると、それが中毒になったり、たくさん飲み過ぎると死亡に至る致死濃度に達する場合がある」
カフェインは許容量を越えて摂取してしまうと、体に害を成す物質。ありふれた存在だけについ軽視しがちだけど、やっぱり度を越えて体内に取り込むことは、命の危機に関わる事態を招くということだろう。
致死量は約3グラム、単純計算でコーヒー33杯分
しかし、そもそも何故この男性は、日常的にカフェインを過剰摂取していたのか。「スッキリ!!」によると、男性は連日、ガソリンスタンドの深夜勤務をしていたという。その勤務中に、眠気覚ましとしてエナジードリンクを飲んでいた。
眠気を堪えて深夜から早朝にかけて働くために、男性はこれを欠かせないパートナーと考えていたのかもしれない。そして男性は、ここ1年ほどエナジードリンクを飲み続けていたが、その期間中に3~4回ほど嘔吐していたという。
日常的にカフェインを過剰摂取していたことに、限界を感じた体が拒絶反応を起こしていたのだろうか。亡くなる1週間ほど前からは、著しい体調不良に見舞われていたことも分かっている。
久保教授によると、個人差はあるがカフェインの致死量は約3グラムとされている。カップ1杯のコーヒーには約90ミリグラムのカフェインが含まれるので、単純計算で33杯以上だ。しかし、それほど多く飲まなくても致死量に達することがあるので、注意が必要だという。
大事なのは「飲み過ぎると危険」と頭に入れておくこと
今やテレビCMやネット広告でもお馴染みとなり、コンビニや自販機で気軽に購入可能となったエナジードリンク。僕も何度か飲んでいるけど、全国清涼飲料工業会によると、エナジードリンクは医療品ではなく、あくまでもカフェイン、アミノ酸の入った炭酸飲料の総称であるとされている。
一応、商品には注意書きが添えられ、子供や妊婦は飲用を控えるよう警告されている。要は過剰摂取すると体に悪影響を及ぼすものだと考えても良いだろう。
健康な人が短期間にこの男性と同じような重篤な状態に陥ることはあまり考えにくいが、ともあれ身近に販売されているものを毎日過剰に服用すると、たった1年で重大な健康被害を及ぼすことは、ちょっとショックではある。
ただ、逆に言えば普段そんなに飲まないのであれば悪影響も少ないはず。いたずらに規制を促したり、不買を心がけるよりも、あくまでもたまに飲む嗜好品という認識を持って接していくのが良いんじゃないだろうか?
久保教授が話したように、エナジードリンクはたくさん飲み過ぎると危険だということさえ頭に入れておけば、それで良いように思える。そもそも世の中に溢れる嗜好品の中には、何らかの悪影響をもたらす物も多いし……。
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