2015年12月24日 11:11 弁護士ドットコム
ジャポニカ学習帳などを販売する文具メーカー・ショウワノートが来年2月から、ラグビー日本代表の五郎丸歩選手をデザインした自由帳などの文房具を発売する。
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同社はアニメキャラクターの文具などを手掛けているが、スポーツ選手の商品は初めてだという。自由帳や下敷き、ペンケースなどを販売する予定。報道で紹介された「五郎丸自由帳」には、名前のしたに例の「五郎丸ポーズ」をとる五郎丸選手の写真が掲載されている。
老若男女を問わず大人気の五郎丸選手。グッズを販売したいと考える人は少なくないだろう。しかし、芸能人などでは、勝手にグッズを販売されたとしてトラブルになるケースも見かける。
もし五郎丸選手のグッズを勝手に作って販売したら、法的にはどんな問題が生じるのだろうか。商標や肖像権の問題に詳しい三平聡史弁護士に聞いた。
「学習帳・ノートブックに大人気のキャラクターや人物が写っていると、キッズは嬉しいでしょうね。子どもたちからも絶大な人気を誇る五郎丸選手は、まさに適任でしょう。ショウワノートの商品は、当然、五郎丸選手の承諾を得て、適法に商品化されていると思います」
三平弁護士はこのように述べる。では、無断で作った場合には、どんな問題が生じるのだろうか。
「主に、2つの権利を侵害することになります。
ひとつは『肖像権』です。これは、簡単に言えば、本人に無断で顔や容姿を撮影されたり、公開されたりしないよう求めることができる権利です。
五郎丸選手のグッズを無断で販売することは『肖像権侵害』となり、損害賠償請求やグッズ販売の差止請求を受けることになります。
もうひとつが『パブリシティ権』です。『パブリシティ権』というのは、その人が持っている顧客誘引力を中心とした経済的価値を保護する権利です。要するに『大人気の人物・キャラクター』を勝手に利用して儲けてはいけないということです。
五郎丸選手の人気ぶりからすれば、『パブリシティ権』は認められると思います。実際、『五郎丸選手が掲載されているから●●を買う!』というキッズも多いでしょう。
無断でグッズを販売した場合には、肖像権の場合と同様、損害賠償請求や差止請求を受けることになります。
肖像権とパブリシティ権は、いずれも法律には書いてありません。判例で認められた権利です。ちなみにパブリシティ権は、かつてのアイドル『ピンクレディー』の写真が雑誌に無断で掲載されたことに対して、ピンクレディー側が発行者に対して損害賠償などを求めた裁判で認められました。
今では、芸能人やスポーツ選手など、人気者のグッズを作りたいと考えたら、本人の許可を取った上で、肖像の使用料などを支払うのが一般的な形です」
三平弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
三平 聡史(みひら・さとし)弁護士
早稲田大学理工学部出身の理系弁護士。”サイエンス、事業、労働、恋愛は適正な競争による自由市場により発展、最適化される”との信念で、新テクノロジー・ベンチャーの分野に力を入れる。twitterアカウントは@satoshimihira。
事務所名:弁護士法人みずほ中央法律事務所
事務所URL:http://www.mc-law.jp/