ルイス・ハミルトンは、レースに勝つためであれば、利己的な考えでチームの指示に逆らうことはしないと明言した。
2015年F1メキシコGPで、メルセデスは安全上の理由からハミルトンにタイヤ交換を指示。しかし、このレースでは終盤にセーフティカーが導入されており、タイヤを交換しなくとも完走できるとハミルトンは考えていた。2週間後のブラジルGPでは、ニコ・ロズベルグを追い抜くためにチームメイトと異なる戦略を採るよう提案していたが、却下された。ハミルトンは2戦連続でロズベルグの後塵を拝する結果となり、チームとの関係が不安視されていた。
メルセデスはレースにおける公平性のポリシーを掲げており、ふたりのドライバーには同じ戦略を採用するという原則がある。「その方針のもと、自身で判断することが可能か」との英国オートスポーツの質問に対して、ハミルトンは「一歩退いて、自分だけの問題ではないということも認識しないといけない。チームにとって正しい判断であるかどうか。1300人のスタッフが関わっていて、僕の利己的な決断は彼ら全員に影響を及ぼすことになる」と答えた。
「だから答えは、ノーだね。自分で判断はしない。みんなの代わりに正しい決断ができているという確信がほしい」と述べている。
ただし、チームの考えに対して真剣に疑問を感じた瞬間があることは認めた。
「メキシコで彼らはタイヤがもたないと言ったけれど、タイヤの寿命は70~80周あったから大丈夫だったはずなんだ。レース後にタイヤがもつとわかったので、あのまま走り続けても最後まで問題はなかった。だけどチームは、あの時点でそれを知らず、安全のためピットストップすることを選んだ」
「過去にはタイヤがバーストしたこともあったから、彼らにはタイヤがどうなるかわからなかった。でも、少なくとも僕は自分の判断が正しいと本音では思っていた」
メルセデス・モータースポーツ代表のトト・ウォルフはブラジルでのレース後、ドライバーが自分で戦略を決定した場合、常に負けることになるだろうと発言している。
ハミルトンは最後に「マシンに乗っている間は大きな視点で見ることができないから、一歩下がって周囲に多くを頼らなければならない。たいていチームはベスト・ポジションにいて、ドライバーは“それなり”のポジションにいる。僕らはチームとして仕事をしている。自分だけの問題ではないんだよね」と付け加えた。