2015年12月23日 10:21 弁護士ドットコム
ここ数年のハロウィーンブームで、日本人の仮装への抵抗感は一気に下がったようだ。つい2カ月ほど前、ハロウィーンの仮装に熱狂した人たちは、今度はクリスマスの仮装の準備に余念がない。こうした人たちの姿は、街に華やぎを添えるものだが、だからといって道行く人たちのために仮装をしているわけでもない。
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そのため、「路上で勝手に撮られるのは不快だし、怖い」(20代女性)といった声も聞かれる。ネット上にも、子どもを仮装させてハロウィーンイベントに行った親から「(自分の)子どもの写真を勝手に撮る人がたくさんいて、驚きました。他人の子を撮影して、どうするんでしょうか?」などと不安そうな投稿がみられる。
今年もクリスマスを前に「6歳の子どもを『かわいいサンタさん』に仮装させるのですが、写真を撮られるのは、何に使われるかもわからないですし、イヤですね」と話す主婦(30代)もいた。
そこで、撮影しようとする人に「写真は撮らないで」と求めたり、撮影された場合に「写真を削除して」と要求することはできるのだろうか? 見知らぬ人の写真を撮影した場合、罪に問われることはあるのだろうか? 東山俊弁護士に聞いた。
「まず、見知らぬ人の写真を撮影することが犯罪になるのかどうかですが、盗撮など悪質なものは別として、他人を撮影することを一般的に処罰する法律はありません。
そのため、仮装している通行人を撮影したからといって、罪に問われることはありません」
しかし、もし撮影を望まない場合、「写真を撮らないで」と要求したり、写真の削除を求めることはできるのだろうか?
「判例は、勝手に撮影されない権利(肖像権)を認めています。肖像権を違法に侵害している場合には、写真を撮らないよう要求したり、削除を求めたりできると考えられます。
問題は、どのような場合に肖像権を違法に侵害しているといえるかです。
行事やイベントの様子を撮影した写真や街中で撮影したスナップ写真にたまたま写り込んだ場合には、肖像権を違法に侵害したとはいえないと考えられ、削除などを求めたりはできないと考えられます。
一方、その人物が写真の中心となっているような場合には、削除などを求めることができると考えられます。そのため、その人を中心として写真を撮影する場合には、了解を得て撮影をすべきと考えられます」
東山弁護士はこのように指摘した。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
東山 俊(ひがしやま・しゅん)弁護士
東山法律事務所所長。大阪弁護士会所属。家事事件はもちろん、一般民事事件や刑事事件も幅広く取り扱っている。
事務所名:東山法律事務所
事務所URL:http://www.higashiyama-law.com/