自分が掛けた年金は、将来受け取れるのかと半信半疑の現役世代もいるだろう。厚労省の試算によると、1945年生まれの70歳の世帯は、支払った保険料の5.2倍が給付されるのに対し、1985年生まれの30歳以降の世帯では2.3倍しか支給されないという。
もしかしたら、この試算も楽観的なものかもしれない。こうなったら親世代の資産をあてにするしかないが、その考えはうまくいくだろうか。東京スター銀行の調査によると、60~69歳の約9割が「自分の資産は自分たちのために使いたい」と答えたという。
子ども世代も「資産はいらないから自分のことは自分でやって」
主な回答者は、家を保有する親世代500人(60~69歳)と子世代500人(30~49歳)。親世代はすでにそれなりの余裕を確保しているかと思いきや、43.6%が今後の生活を「ぎりぎりの生活」「生活できない」と見込んでいるという。
そんな老後の不安からか、資産を誰のために使いたいかという質問に、87.0%が「自分のため」「夫婦のため」と回答。「子どものため」と答えた人は、わずか7.4%にとどまっている。
「自分たちで資産を使う代わりに子どもに頼らないか」、それとも「資産を残して子どもに面倒を見てもらうか」の2択では、前者を選んだ人が80.0%にのぼる。
子ども世代も、そんな親の考えを察知しているようだ。「親の資産をあてにしているか」との質問に、69.6%が「あてにしていない」「あまりあてにしていない」と回答している。
「親の不動産を引き継ぐべき」と考える人も49.8%と半数未満。「資産は残さなくてかまわないので、老後のことは親自身で解決してほしい」と答えた人も73.6%となっている。
今回の結果を受けて調査元は「親世代の資産に対する考えが変化してきている」と分析。「老後の面倒を見てもらう代わりに、子どもに資産を残す」というスタイルは、過去のものになりつつあるのだろうか。
あわせてよみたい:年金の「世代間格差」に若者世代が不満