トップへ

ホンダF1「デビューが時期尚早だったとは思わない」

2015年12月22日 10:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

2015年日本GP ジェンソン・バトン(マクラーレン・ホンダ)
ホンダF1プロジェクトの新井康久総責任者は、F1に復帰した2015年は予想以上に苦しんだが、実際にコース上を走ることでさまざまな問題を解決することができたと語った。

 2014年からF1には1.6リッターV6ターボ パワーユニットが導入され、それに伴いホンダはパワーユニットサプライヤーとして、マクラーレンと組み、F1活動を再開することを決めた。

 しかし初年度の今年は信頼性のトラブルが相次ぎ、パフォーマンス向上を思うように図ることができなかった。マクラーレン・ホンダはコンストラクターズランキング9位でシーズンを終えている。

 新井総責任者は、2014年末のアブダビテストの前には大きな期待を抱いていたが、アブダビテストから年明けのヘレス、バルセロナテストを経るにつれて、厳しい1年になることが分かったと述べた。

「1年前にはとても楽観的な予測をしていました」と新井総責任者が語ったとF1iが伝えた。
「たくさんの問題があることは分かっていましたが、その時点で抱えていた問題のほとんどは電気系のものであり、それは解決できると思っていました。しかしそれを解決した後にはハードウエア、MGU-HとMGU-K、つまりERSに多数の問題が起きたのです」

「その時(アブダビのテストの際)はとてもポジティブに考えていましたが、その後、多数の問題が出たため、アブダビ後、とても困難な1年になるということが分かりました。特にヘレスとバルセロナでの冬季テストではハードウエアのトラブル、ERSのトラブルが出てきて、それ以降は楽観的な気持ちは捨て去りました。(開幕戦)メルボルンは近づいており、思ったようにすべての準備を整えるだけの時間はなく、開幕は残念な形になりました」


 あと1年準備期間があればよかったと思うかと聞かれ、新井総責任者は、コース上で走らない限り問題は解決できなかっただろうと答えた。

「あと1年待っていても同じ問題、同じトラブルに見舞われていたことでしょう。実際にコース上で十分な経験を積んでいないと、早急に最終的な解決法を見つけるのが難しい。そうすると判断を誤ったりミスを犯すことになるのです。でも私たちは2015年の1年でたくさんのことを学習しました。学習を積み重ねてきた1年でした」

 シーズン序盤はさまざまなトラブルが続き、その対策に追われたが、スペインGP後、問題が起きてもすぐに解決できるようになり、それによりたくさんのことを学習できたと新井総責任者は言う。しかし1年間で果たした進歩に満足はしていない。

「リザルトの面で十分ではありません。ポジションだけの問題でなく、私たちの目標にはまだ遠く及ばない状態です。メルセデスやフェラーリといったトップチームを追いかけたいのですが、まだギャップは大きい。彼らに追いつくには、冬の間の時間を使う必要があります」


 ホンダ本社もファンも難しいプロジェクトであることは理解してくれていると、新井総責任者は語った。

「本社の上層部は常に高い期待を抱いていますが、現場で何が起きているかを説明していますし、彼らはすべて理解しています」
「マクラーレン・ホンダには素晴らしい歴史があるため、ファンは大きな期待を持っています。それでも大部分のファンの方々が私たちの状況を理解し、希望を持ってくれています。ファンの方々からは本当に励まされています」

 マクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブーリエと新井総責任者は、2016年のマクラーレン・ホンダは哲学は維持しつつ完全に一新されると述べている。チームは今年同様、タイトなリヤエンドの“サイズゼロ”のコンセプトを推し進める予定だ。