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「ヘイトスピーチが大半」「絶版にして」 はすみ氏のイラスト本発売に抗議の声

2015年12月21日 20:21  弁護士ドットコム

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シリア難民を中傷するイラストをフェイスブックに投稿したとして、批判を集めた漫画家・はすみとしこさんの著書『そうだ難民しよう!はすみとしこの世界』(青林堂)が発売されたことをうけて、その刊行に抗議の声をあげている出版関係者の団体と市民団体が12月21日、東京・永田町の参議院議員会館で記者会見を開いた。


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はすみさんのイラストをめぐる騒動は今年9月に起きた。はすみさんは、シリア難民の少女をモデルにした「他人の金で楽に生きたい。そうだ難民しよう!」という文章を添えたイラストを自身のフェイスブックページに投稿した。その後、「差別表現だ」という非難が殺到すると、投稿を削除したが、12月19日に発売された著書では、問題となったイラストの一部に手を加えたものを掲載している。



●「ナチスのやり方を再生産したものだ」


この日の会見は、出版関係者有志の団体「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」(BLAR)と、市民団体「のりこえねっと」が開いた。はすみさんの著書刊行を前に、BLARは11月18日、書店や出版業界団体に「配慮」をもとめる抗議声明を発表している。



BLARの岩下結さんは会見で、はすみさんの著書ついて、「難民のほかは、在日コリアンなど、特定の民族に対するヘイトスピーチ(憎悪表現)が大半だ」と説明。「今回の本は、書店に並べることで、差別思想の流布・宣伝につながる」と述べた。さらに、一人ひとりの書店員に向けて、目立つ棚に展示しないなどの「自主的な対応」を呼びかけた。



のりこえねっとの共同代表をつとめる辛淑玉さんも、第二次世界大戦時にユダヤ人迫害をおこなったナチス・ドイツのヒトラーやその著作を例にあげながら、「ナチスのやり方を再生産したものだ」と批判。さらに、「社会がきっちりと落とし前をつけないといけない。私としては『絶版』にしてもらいたい」と語気を強めて話した。


(弁護士ドットコムニュース)