12月18日に発表された、浜島裕英氏のTEAM CERUMO加入。発表翌日の19日に開催された『F1速報 2015年シーズン忘年会』に出演するため、編集部を訪れた浜島氏に、その心境を聞いた。
TEAM CERUMO加入の話は、実はかなり以前からあったのだと言う。
「フェラーリに行く前、ブリヂストンにいる間から、お声をかけていただいていました。バテさん(TEAM CERUMO代表取締役 佐藤正幸氏)には、仲良くしていただいていましたから。その頃から、『チーム全体を見てくれ』というお話でした。でも私はフェラーリに行くことを決めまして、その時には『だよな』と言われましたね(笑)。そして私は『レーシングチームを勉強してきます』と申し上げ、イタリアへ行きました」
しかし、浜島氏は昨年をもってフェラーリを離脱。2015年は日本に帰国し、F1中継の解説などを務めていた。そして再びTEAM CERUMOから話があり、加入が決定したのは、つい最近のことだった。
「具体的な話があったのは、今年の11月。(TEAM CERUMO入りが)ちゃんと決まったのは、12月になってからですね」
「セルモの取締役になります。外部取締役ですね。契約期間については特に決めていませんが、佐藤社長からは『後を引き継いでくれるんだよね?』という言い方をしていただいてます」
つまり浜島氏は、これまでチームを率いてきた佐藤社長に代わり、今後のセルモ全体を牽引していく役目を担うこと期待されているようだ。では、なぜ浜島氏は、再びレースという戦いの最前線に戻ることを決めたのか? それを問うと、次のように説明してくれた。
「チャンスがあるんだったら、たかが私の経験ではありますけど、若いドライバーやエンジニア、そしてメカニックの方々に、お伝えできるモノがあるのではないかと思いました」
浜島氏のTEAM CERUMOでの肩書は、“総監督”になるという。では、具体的にどんなことをするのか?
「スーパーフォーミュラのチーム(立川祐路)と、スーパーGTのチーム(高木虎之介)には、それぞれ監督がいますから、その両方を見るのが私の役割です。タイヤのことだけを見るのではなくて、マネージメントも含めて、全部です。とはいえ、タイヤの事は重要になるはずで、特にスーパーGTは(浜島氏がかつて在籍していた)ブリヂストンとの仕事ですから、プッシュしなければいけないですね。こういうモノが作れるよね……という話もできますし」
そして、こうも語ってくれた。
「チームがどうやってオペレーションをしているのかはまだ見ていないので、具体的には何ができるのかは分からないです。でも、例えばドライバーには、私がマイケル(シューマッハー)とか、(セバスチャン)ベッテルとか、(フェルナンド)アロンソ等から教わった部分は、直接体験談としてお話して差し上げられると思います」
「タイヤのことって、実は皆さん意外と理解されていない所もある。この点についてもぜひ、お教えしたいと思っております。タイヤ交換ももっと速くできるように、チーム皆さんと一緒に考えたいですね」
チームにしっかりと関与するために、浜島氏は今後、御殿場に住むことになるという。
「家族がいますので、週末は東京に帰ってこようと思っていますが、平日は基本的には御殿場に住むつもりです。今、1LDKの家を探していただいています。富士山が毎日見えるというのは、良いですね」
TEAM CERUMOに所属することになるとはいえ、今後も解説や講演会の仕事も続けるという。
「解説のお仕事を頂けるのなら、それはもちろんやらせていただきたいと思います。講演会とか、雑誌などの取材もお受けできます。そういうのはどんどんやってくださいというのが、TEAM CERUMOとしてのご意向のようです。その方が、チーム名の露出も増えますからね」
最後に、TEAM CERUMOでの初年度に向けた抱負を、次のように語ってくれた。
「新しいチャレンジをいただけたので、楽しみですよ。大変かもしれませんけどね。スーパーGTではこの数年ニスモにやられっぱなしなので、それをなんとかしたいですね。スーパーフォーミュラは、本当は今年チャンピオン獲ってほしくなかった……来年チャンピオンを獲れなかったら、僕が入ったからだと言われてしまいそうで……まあ、それは冗談ですけどね(笑)」