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【アイビー茜×ワクサカソウヘイ対談】占いは毒にも薬にもなる、今いる場所から一歩踏み出すきっかけをくれるもの

2015年12月19日 16:01  占いTVニュース

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 コラムニスト、コント作家、脚本家、舞台のプロデューサーなど、多方面で活躍中のワクサカソウヘイさんと、占い師アイビー茜さんが初対談! 著作『男だけど、』(幻冬舎)で「占いは言葉のエンタテイメント」と語るワクサカさん、占い結果をその人への“メッセージ”として届けるアイビーさん。2人が思う「占い」とは? 


■男だけど、心の中には“女の子ちゃん”!?


――『男だけど、』は、ワクサカさんと、ワクサカさんの中にいる“女の子ちゃん”との旅物語ですが、そもそも〝女の子ちゃん″に出会ったのはどういった経緯なのでしょうか?


ワクサカソウヘイ(以下、ワクサカ) 高校が「ほぼ女子高」だったんです。この3年間はかなり強烈でしたね。女9:男1の世界だから、女子に嫌われたら終わりなわけなんですよね。女子高で女子と共存するには、自分の内面を女子に寄せるしかない。自分の内面の一部を女子化させるわけです。そしたらそれが、意外とうまくいったんですよ。その時に、自分の中に“女の子ちゃん”がいることを発見しましたね。


――可愛いものが大好きで、スピリチュアルや占いには飛びつき、涙もろくてわがままな“女の子ちゃん”とワクサカさん旅物語。アイビーさんは読まれて、どういった感想を持たれましたか?


アイビー茜(以下、アイビー) 著作を拝読させていただいて、「女の子ちゃんって金星ちゃんだー!」って思ったんですよ! 占星術的に金星は、ただ楽しませてねって欲求なんですよ。女の子ちゃん「可愛いもの好き!」「おいしいもの食べたい」「楽しいことしたい!」って気持ちは、まさに金星があらわしているものなんですね。また、火星は男性性をあらわす惑星なのですが、著作の後半、ハンピ村で、それぞれ個別に存在していた女の子ちゃんとワクサカさんが融合したところは、金星と火星がキレイに合わさったんだなって思って感動しちゃいました。


ワクサカ 旅って日本ではできない「カワイイー!」と感じる気持ちを解放しているんですよね。変な話、僕、可愛いって欲情というか、性的なものだと思っていて。可愛いものってつい見ちゃうじゃないですか、自分のものにしたいっていう気持ちが湧くし。可愛いは性的なもの、セクシャルなものの欲求な気がして。


アイビー これも占星術的な話なのですが、月は、その人の能動的欲求をあらわすんです。欲望としての「可愛い」とか「これ欲しい!」は月の欲求なんですよ。また、月は女性性をあらわし、男性の中の母性像をあらわすこともあるんです。


ワクサカ あー、それ、おもしろいな……。たとえば、女性の生理のことを「つきのもの」って言うじゃないですか。生理は約1カ月の周期だからそういう表現を使うわけだけど、それとは別に月の満ち欠けともリンクさせてるのかなって。月が女性性をあらわすっていうのは、なんだか腑に落ちます。「カワイイ」が月の欲求っていうのも、イメージとして伝わってきますね。


■占いは、今いる場所から一歩踏み出すきっかけをくれる


ワクサカ そういえば、アイビーさんって何占いなんですか?


アイビー 西洋占星術、宿曜占星術、タロットですね。小学校の時に通っていた油絵教室に占星術の本やタロットの画集とかがあって、興味を持ち始めたんです。親にお願いしてタロットカードを買ってもらって私にとっては占いをすることは普通だったんですけど、周りからしたらそうじゃなかったみたいで……。占いが好きってことを隠すようになっちゃって。


 でも、22歳くらいからまたタロットを始めて、周りの友達を占い始めたんですよ。独学で占星術も学び始めました。そのときは占い師一本で食べていくって思ってはいなかったのですが、24歳の時に内定取り消しにあってしまって……「もう占いしかないな。腹をくくるしかない」と、占い師の道を進み始めました。実は占いで「自営業に向いてる」ってよく言われていてんです。就職をあきらめたというか、受け入れたら楽になりましたね。


ワクサカ でも、捨てたら入ってくるものってあるじゃないですか。やりたいことがあるなら、やるべきなわけで。不安感はあるけど、なにかを1個捨てて前に踏み出したら、なにかが1個手に入るってことだから。占いも、それに似てることだと思うんですよ。今いる自分の構図から、1歩だけ足を踏み出しなさいっていう、何かのきっかけの1つだと思うんですよ。結果ではなくて、“きっかけ”。そう思うと占いって救いだと思うし。


 人間って、ずっと同じ“構図”にいがちなんですよ。でも、同じ構図にいるとだんだん窮屈になってしまう。別の構図に移るときにかろやかになれるんです。ただ、別の構図=見えない構図なわけで、見えないとこに跳ぶのは怖い。だからなかなかかやらないんですよね。でも、肯定的な占いは、そういう見えないところへ跳ぶきっかけを作ってくれる、「ひとつのツール」って感じがするんですよね。


アイビー 占いって、相談者のイニシエーションに立ち合っている感じがするんですよ。その人を1つ上の段階に上げる通過儀礼というか。占い師ってその瞬間に立ち会ってメスを入れる役割だと思っていて。そのメスの入れ方に、占い師の個性がすごく出てしまうんですよ。説教ばかりして無理やり上げてしまう人もいれば、ヒーリングのしすぎでもやもやさせてしまう人もいるし。私は占いって、薬だけど、毒に近い薬だと思っています。


ワクサカ 毒にもなりうるし薬にもなりうるのが言葉だし、占いなんですよ。占いは、ただの言葉だと思います。占いって怖いところあるじゃないですか。現代日本人は占いに対して、基本的に「いかがわしい」っていうフィルターを持っているだろうし。僕も基本的にはそんなフィルターを持っている。でも一方で、僕は占いがすごく好きなんですよね。
(後編へ続く)


★アイビー茜(あいびーあかね)
7歳のときからタロットに親しみ、独学でさまざまな占いを学ぶ。大学、専門学校卒業後、月の占い師アイビー茜として活動。鑑定には西洋占星術、宿曜占星術、タロットを用いる。
女性ファッション誌『NYLON JAPAN』(カエルム)、『nicola』(新潮社)などで連載を持ち、占いとファッションのコラボレートも得意。著書に『アイビー茜のルナモンスター占い』(扶桑社)。
・アイビー茜公式HP http://ivy-akane.com/


★ワクサカソウヘイ
1983年生まれ。文筆家。小説からコラム、脚本までその執筆活動は多岐にわたる。また、コント作家・芸人として、コントカンパニー「ミラクルパッションズ」にも参加。主な著書に『中学生はコーヒー牛乳でテンションが上がる』(情報センター出版局)、『今日もひとり、ディズニーランドで』(イースト・プレス)など。
・『男だけど、』 http://qq2q.biz/pKLx