2015年12月19日 11:41 弁護士ドットコム
クリスマス目前、恋人からのプレゼントを楽しみにしている人も多いでしょう。
でも、そのプレゼント、相手と別れるときに手元に残しておいても良いものでしょうか?
弁護士ドットコムの法律相談にはこんな相談が寄せられました。
「別れ話を切り出した際、彼から『これまで送ったプレゼントや、旅行代金を返済しろ』と言われました。バッグや洋服、旅行代など数十万円になります。返さないといけませんか?」
東山 俊弁護士に詳細に解説をしていただきました。
A. 「プレゼントを返す義務はありません」
元交際相手からもらったプレゼントや旅行代を返す必要はありません。
そもそも、交際を終わらせる際に、「それまでに贈ったプレゼントを返せ」と交際相手に請求することはできません。
プレゼントを贈ることは、法的には、「贈与契約」という契約になります。
一方が「プレゼントをあげます」という意思を表示し、それに対してもう一方が「はい、いただきます」という意思を示せば、双方の意思が合致しているとして、贈与契約が成立します。
契約書を作っていなくても、口約束で契約は成立します。
贈与契約が成立してプレゼントを一度相手に渡したら、後から「やっぱり返して」と取り消すことはできません。
プレゼントを返す必要がないのですから、プレゼントの代金も返す必要がないということになります。
旅行代金も同様に考えられ、返済する必要はありません。ましてや、返済しなかったからといって、損害賠償請求に応じる義務はありません。
では、仮に、プレゼントをもらった側に別れる原因があった場合はどうでしょう。
法的には、「別れる原因がどちらにあるか」ということと、「贈与契約を取り消せるか否か」は関係がありません。
したがって、プレゼントをもらった側に別れる原因があっても、プレゼントを返したり、代金を返済する必要はありません。もちろん、損害賠償請求に応じる義務もありません。
ただし、婚約破棄の場合は結論が変わる場合があります。
例えば女性側の浮気で婚約を破棄する場合には、プレゼントや旅行代金を返す必要はありませんが、男性から贈られた結納金や婚約指輪を返さなければなりません。
なぜなら結納金や婚約指輪は、結婚を成立させることを条件として贈与されたもので、結婚が実現しなければ、受け取る理由がなくなるからです。
結納返しや婚約指輪のお返しも同様です。
婚約を破棄された側にとっては、婚約指輪を返されてもあまり意味がないことから、婚約指輪の代金の返還を請求するケースも多く見られます。
なお、結納や婚約指輪を贈った男性側に婚約破棄の責任がある場合、それらを贈られた女性には、結婚が成立しなかったことについての責任がありません。したがって、結納金や婚約指輪を返す必要はありません。
【取材協力弁護士】
東山 俊(ひがしやま・しゅん)弁護士
東山法律事務所所長。大阪弁護士会所属。家事事件はもちろん、一般民事事件や刑事事件も幅広く取り扱っている。
事務所名:東山法律事務所
事務所URL:http://www.higashiyama-law.com/